以前から「持ち歩けるキーボード」がほしいと書き続けてきましたが、キングジムから、イメージ的に一番近い製品が発表されました。

「なんでもう 3ヶ月早く出してくれなかったんだ!!」
と叫んでしまった代物 ((すでに私は Eee PC 901-X を買ってしまっているので…))、ノートPC から余計な機能を排して、入力に特化したツールでした。

2つに折りたためる入力専用機「ポメラ」

ポメラは、2つに折りたためるキーボード、モノクロ液晶ディスプレイ、microSD カードスロットだけを装備して、ATOK 2007 で漢字変換ができるようにした、テキスト入力専用機です。

そう言われて極私的に頭に浮かんだのはこの辺のイメージ。

  • 「メモ帳しか動かない Windows Mobile」
  • 「リュウドの折りたたみキーボード RBK シリーズに画面つけた」
  • 「ワープロ専用機、東芝 Rupo (ルポ) のプリンタがない状態」

なんだかやたら古い話も混じっていますが、良しとします。:-)

サイズ的にどうでしょうか。MOBILE ページのまとめ表に書き足しましたが、たたんだ状態で幅 100mm x 奥行き 145mm x 高さ 30mm、単行本サイズですね。

昔のワープロ専用機を彷彿とさせるディスプレイ

今どきの携帯やノート PC を見慣れた目には珍しく、モノクロでバックライトのないディスプレイ。単4乾電池 x 2 で駆動できるようにとのことでしょうが、適正な照明下ではバックライトのない方が目に優しい気がします。しかし、反射するタイプのディスプレイのため、20点アップして 50点減点。辛いと言われそうですが、個人的に反射するディスプレイきらいです

リュウドと長所も短所も似ているキーボード

キーピッチは 17mm、打ちやすさでは最近の UMPC でベストだと思っている HP2133 (17.5mm) と、やや狭い Eee PC 901-X (実測 16mm) の中間でしょうか。

ITmedia のフォトレビューを見てみると、”@ [ ] : , . /” あたりの記号キーが横幅が狭くなっていないのは、二つ折りキーボードの面目躍如ですが、上下は単行本サイズを意識しすぎた結果、

  • 上段 … 数字 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 0, -, ^, \ の段
  • 最下段 … Ctrl, Alt, 変換キー, スペースキーなどの段

が上下に狭い変速キーボードとなっており、変換する瞬間や、数字の多い文章を書くときに「うっ」と手が止まりそうです。リュウドの折りたたみキーボード RBK-500U あたりどうだったかな? と画像を見てみると、奇しくも狭い段はまったく同じで、意識して作ったのか、キーボード部分だけリュウド製とメーカーが同じなのか? と想像させるものがあります。

最近の microSD カードの値下がりが生み出す落とし穴

入力専用機なので、最低限、書いたものを PC に移すことしかできません。USB ポート (mini B) で Windows Vista や XP マシンと接続して、デジカメのようにメモリデバイスとして認識させるか、ポメラ自体に microSD カードを挿すかです。2GB までの非 SDHC カードまでしか使えないのが、劇的に値下がりしている最近の microSD カードを無意識に 2,000円出して買ったら 8GB だったという人は落とし穴になるかもしれません。

通信ができないのは構わない…が用途が限られる

USB ポートはイーモバイルの D12LC などデータ通信専用カードを挿して使うことはできないでしょう。割り切りマシンなので多くを期待してはいけませんが、

  • 出先でブログを書くためには、Web ブラウズをして調査する必要があるので、イーモバイルぐらい使いたい
  • 会議中には、Excel シートや社内アプリケーションを開いて、それを見ながらディスカッション→その場で結論を入力するのがもっとも効率的

価格競争力はありそうでないレンジ

そして価格は 27,300円です。何でこんなに高いんでしょうか。

世の中、今年は Eee PC 901-X あたりを皮切りに、ミニノート PC / UMPC / MID / ネットブックなど 60,000円前後の低価格 PC が流行りです。

UMPC のメーカー希望小売価格との比較では、たとえば UMPC のローエンド機、たとえば Eee PC 900-X は 49,800円ですから、2万円弱のアドバンテージがあります。でも、入力できればいいのなら UMPC の型落ち品でもいいわけです。Eee PC 4G-X は価格.com によると今日現在、平均 35,000円、最安 30,000円ぐらいですので、数千円余分に出してイーモバにつながるなら、そちらがいいという人もいるはずです。

逆に、ポメラのディスプレイ部分をなくして、携帯につなぐのが前提なら安くなる、という考え方もできます。リュウドの Rboard for Keitai シリーズというのがあり、キーボードが携帯機種に対応している必要がありますが、たとえば Bluetooth HID プロファイルタイプの RBK-2100BTJ をリュウド・オンラインショップで買えば 9,800円です。キーボード部分はパンタグラフ式だし、価格がほぼ同じと考えると、ディスプレイ + microSD スロット + ATOK 2007 に差額 17,800円というのはちょっと信じられません。

惜しいです。すごく惜しい製品です。少なくともデジタルガジェット好きのブックマークに KING JIM の名を刻んだ功績は大きいでしょう。 🙂

…将来的にポメラ2 でも出て、初代が型落ちしたら買ってみますか。