パナソニックのデジタル一眼カメラ DMC-GH1 と、キャノン EOS Kiss X3 の比較です。いったんは両方ボツにしたものの、HD 動画性能は二の次にして、本来の静止画カメラとして選ぶならどちらが買いなのでしょうか。

DMC-GH1: コンフォートレッド EOS Kiss X2: ズームキット

DMC-GH1 と EOS Kiss X3 を一旦はボツにしたが…

動画が取れるデジタル一眼カメラ、という意味だと、パナソニックの DMC-GH1 はスペックを見る限りイチオシでした。動画だけならです。対するキャノン EOS Kiss X3 は常時 AF ではないのを初めとしたいくつかの理由により、あまりそのときは乗り気でなかったのです。

ところが、その後 DMC-GH1 の実機を PIE2009 で触ってみると、評価は急転直下。どうしても LVF (液晶ビューファインダー) が好きになれないのです。さらに追い打ちをかけるように、結果的には消費者にメリットのないモニター販売と、当選者も何やってるんですかと言いたくなる価格.com の投稿に毒気に当てられ、完全に私のウィッシュリストから外れました。

そして時は平成。

相変わらず、IXY Digital 900IS でブログ投稿用の写真を撮っていた私は、「あああもうなぜこんなに外で望遠すると荒くて、部屋で接写すると歪むし暗いんだ」とコンパクトデジカメの限界を悟り、EOS Kiss X2 とデジタルビデオカメラ HDR-TG1 と三脚 4kg かついで懲りた遠い日の思い出なんかすでに美化されてしまって、

まずは静止画スペックのしっかりしたデジタル一眼を買おう

と路線変更することにしました。

マイクロフォーサーズ規格で薄い DMC-GH1

パナソニックの DMC-GH1 と先代の DMC-G1 は、マイクロフォーサーズシステムという規格を採用しています。フォーサーズ ((Four Thirds)) はイメージセンサが 4/3型 (約17.3×13mm) であることを意味します。マイクロフォーサーズは、イメージセンサのサイズはそのままで小型化したものです。

DMC-GH1: ボディ

実際にサイズを EOS Kiss X3 と比較してみると、

DMC-GH1K EOS Kiss X3 レンズキット
ボディサイズ 幅 124mm x 高さ 89.6mm × 奥行 45.2mm 幅 128.8mm × 高さ 97.5mm × 奥行 61.9mm
キットレンズ直径 φ70mm φ68.5mm

幅や高さといった正面から見たときの大きさはそんなに変わりませんが、奥行きが 16.7mm 違うため、「薄い」印象を受けます。レンズは、PIE2009 の会場で見たときは細身な印象を受けましたが、実際に DMC-GH1K のレンズ直径は EOS Kiss X3 に付属するレンズと大して変わらず、逆にわずかに太いことが分かります。

まだ実機が 1社だけのマイクロフォーサーズ

マイクロフォーサーズと言えば、PIE2009 で、パナソニックブースの社員がちらっと漏らしていた一言が気になります。

オリンパスさんからはまだマイクロフォーサーズ機、出てないんですよね…

マイクロフォーサーズ規格はパナソニックとオリンパスによって策定されたもので、2008年に策定された、かなり新しい規格です。パナソニックは DMC-G1 と DMC-GH1 を発売しているのですが、片棒担いだオリンパスからは、未だに実機が発売されていないのです。同じ PIE2009 で、謎のベールに包まれた展示があり、そろそろ発売されるようですが、今後どれくらいデジタル一眼の世界に受け入れられていくのか、やはり不安はあります。

ハイビジョン動画映像の規格 AVCHD は、やはりパナソニック (とソニー) が策定したものですが、こちらは 2006年の策定だからとはいえ、パナソニック、ソニー、キャノン、日立、ビクターの 5社から AVCHD 規格のデジタルビデオカメラが発売されています。いくら規格自体が、PC で処理するには重い代物だったとしても、これだけデファクトスタンダードとして認められれば、HDR-TG1 買おうか、という気にもなるわけです。

イメージセンサは EOS Kiss X3 の方が大きい

画質を決める要素の一つが、先ほど書いたイメージセンサの物理的な大きさです。

  • DMC-GH1 (マイクロフォーサーズ) … 4/3型 (約17.3×13mm)
  • EOS Kiss X2, EOS Kiss X3 … APS-C サイズ (22.2×14.8mm)

イメージセンサが大きい方が単純に光を取り込みやすいため、高画質、高感度だとされています。もちろん、イメージセンサ単位面積あたりの画素数などにもよりますが、HDR-TG1 (そしておそらく HDR-TG5V も) はコンパクトだが絵が暗くなりがちな欠点を抱えていることを考えると、小さい撮像素子のカメラは 2台も必要ない気がします。

ややチャラいが、画質には大満足の EOS Kiss X2

EOS Kiss X3 の一つ前の代になる EOS Kiss X2 を、私は仕事で持ち歩いて大量の写真を撮ったことがあります。

EOS Kiss X2 + EF–S55–250mm F4–5.6 IS

シーン別撮影を行えるよう、モードダイヤルにアイコン化された「人物」「風景」「夜景」モードなどがあるのは、ちょっと初心者向けでチャラいので、物欲刺激度では減点です。

しかし全体に撮った画像は非常に納得のいくもので、全自動で簡単に高品質な絵が取れるイメージがありました。

その後継機で発売されたばかりとなれば、ここは製品のラウンチでつまづき、将来性も不透明なマイクロフォーサーズ機 DMC-GH1 よりも、使ってみて好印象だった EOS Kiss X2 の後継機かね、ということで EOS Kiss X3 をついに購入することになりました。

物欲の前にはすべてが正当化されるわけですね。ハイ。 👿