紆余曲折あった Final Fantasy XIV ready なマシンも構築できたため、休暇中に 3日ほどプレイしてみることにしました。手始めに、私が一番懸念している、ゲーム内での死の重みの話とローカライゼーションについて。

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スクウェア・エニックスの MMORPG、Final Fantasy XIV (以下 FF14) が 9月30日から一般公開されるのに先駆けて、9月22日からコレクターズエディションの購入者のみ、1週間先行してログインできるようになりました。サーバーにもよりますが、私がキャラクターを作ったサーバーでは混雑時で 3,000人を超えており、盛況のようです。

仁礼が過去にプレイしていた MMORPG で期間の長いものは、FF14 の前作 MMORPG である Final Fantasy XI (FF11, ただし「ジラートの幻影」シナリオまで 1年間) や、韓国 NCSoft の MMORPG であるリネージュII (Lineage II) を 2年強です。これらは今も存続中のタイトルですが、プレイ時期以降の最新仕様はよく知らないものとして書きます。FF14 のオープンベータは手もつけていません。純粋に 3日だけです。

全体の感想としては、

「だいぶ韓国や欧米の MMORPG の血が混じって、人間関係の薄まった FFXI だね」

です。

用語から FF らしさが消えた

FF11 や MMORPG でない Final Fantasy シリーズも含めて、日本人プレイヤーが求めるのは、強そうなモンスター名と武器名が並ぶだけではなく、日本人的な笑いを誘うチャイルディッシュなアイテム名がたまに混じっていることでした。

FF14 では致命的なことに、アイテム名などに可愛げが無くなってしまいました。チョコボが「馬鳥」になっていてユーザーの指摘で訂正されたり、、チョコボ乗り場 (厩舎) が「馬留」、それ以外にも「剛飛磔」「黒鉱滓」といった、日本人の発想とは考えにくい用語になっています。

ゲームのローカライゼーションを仕事にしていた人間としては心中お察ししますが、日本製タイトルで用語がこうなってしまうのは不可解ですね。韓国、中国、欧米のユーザー数の増加を反映して仕様策定チームもグローバルになり、日本人ではない人間がレビューしているとか、英語でまずアイテム名を決めて中国で日本語にローカライズしているとか、何らかのローカライゼーションの逆転現象が起きているのではないかと推察します。

日本製タイトルでさえ軽くなっていく「命の重さ」

Ultima Online が一番デスペナルティが厳しく、キャラクターが死んでしまうと持ち物をその場にばらまいてしまい、loot と呼ばれるアイテム略奪行為を他人が行えます。日本が平和なだけですが、これは当初衝撃的でした。

FF11 やキャラクターが敵に倒されると経験値が減るデスペナルティがありました。経験値稼ぎに要した時間が失われるため、プレイヤーが少し慎重になり、キャラクターが死なないようにプレイすることを心がけるし、同行した PT (パーティ) メンバーも「人が死ぬと悲しむ」という当たり前のコミュニケーションが行われていました。

ただ、日本語版のみだった初期の話で、ノートリアスモンスターというレアモンスターを長時間かけて倒すミッションが導入されたり、PvP (対人戦闘) 慣れした海外からのプレイヤーが流入すると、だいぶそれも変わってきたようです。

Lineage II では経験値が減るペナルティのほか、もっとも高額な主要武器を除いて、所持アイテムを一定確率で落とすペナルティがあります。プレイヤー自体が PvP 好きでドライなため、人によっては相手の城を攻め落とすまでいくら経験値が落ちようが突撃してはスタート地点に戻るというゾンビアタックを繰り返します。城主になり覇権を誇ることに重きが置かれて、ゲーム内殺人に対する罪の意識や、命の重さは軽いと言えます。FF11 と異なりサーバーは韓国と日本とで分けられていて、純粋な日本人プレイヤーですが、「ゲーム内のロールプレイですよ」と片付けるにはあまりにも殺伐とした雰囲気が漂っていました。

FF14 にいたっては、死亡 (戦闘不能) になっても各ジョブの経験値にあたるものは減りません。5分ぐらい弱体化する衰弱時間があるだけです。そのため、プレイヤーはギルドリーブ (クエスト) でモンスターを倒すという目的完遂まで、突撃を繰り返すことになります。 ((後半のマップではそう簡単に復帰できない場所もありそうですが。))

ある意味ユーザーの声を反映して、初心者でも失敗なくわいわいパーティプレイできる、ということなのかもしれませんが、キャラクターの死とデスペナルティが作り出していた、リアリティ、倫理観、緊張感が失われているのも事実です。

次回は、コミュニケーションのスタイルも変わったという話。

つづく。

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