S が 4つの Sun ロゴが Oracle に買われる日が来るなんて

Oracle が Sun を買収するニュースが報道されました。インターネット黎明期、Linux と PC サーバがそれほど一般的ではなかった時期、少なくとも国内の Web サーバと言えば Sun や NEWS のワークステーションでした。というアレゲな昔話。

初期のネットカルチャーの代名詞だった Sun が…

Sun Microsystems (サンマイクロシステムズ) は、1990年代のインターネット黎明期に、UNIX ワークステーション市場では一人勝ちの様相を呈し、その後 Java を開発したことで知られる、初期のインターネットカルチャーの代名詞ともいえる会社です。

その Sun が経営不振に陥ったらしい兆候は前からありましたが、ついに商用リレーショナル データベース大手の Oracle (オラクル) に 74億ドルで買収されたというのは、今後 Oracle が Sun の既存ビジネスをどう引き継いでいくかは別にして、一つの時代の終わりを意味します。

今でこそ、「サーバマシン」とはいっても、数人で利用する程度の小規模なものであれば、デスクトップ PC を使い回して、安くあげたいならフリーの Linux 系 OS をインストールしてとりあえず使うことならできますが、1990年代は、そもそも Web サーバをホスティングするのに Sun Sparc シリーズという Sun の「ワークステーション」を使用するのが一般的でした。

Sun 独自アーキテクチャの WS が当たり前だった

大学や、私の昔の勤務先には当然のように置かれていましたが、ミニマムな構成でも 100万円以上が普通だった世界です。

CPU は SPARC という Sun 独自開発のものですし、CRT ディスプレイ、キーボード、マウスに至るまで、すべて Sun 純正品の独特なロゴ (Sun の S を 4つ合わせたものだが、身内ではラーメンマークと呼ばれていた) なのが基本でした。

たかが Web サーバ + 小規模なデータベース動かすのに、なんでそんなに 1社の独自アーキテクチャに投資が必要なのか不思議だと思います。CPU の処理能力という面で当時 486DX の段階だった  Intel CPU が劣っていたわけではなく、Linux, FreeBSD, NetBSD といった PC-UNIX がまだ発展途上で、UNIX のライセンス問題を抱えているバージョンもあり、PC マニアのホビーとして使われているに過ぎなかったからだと思います。

個人で所有していた Sun Sparc 2

私は個人で 1993年頃、その Sun ワークステーションを所有して、BIND (DNS サーバ) と NCSA httpd / CERN httpd (Web サーバ) を運用していたことがあります。うどん通販サイトもこの時期ですね。Sun SPARC 1+Sun SPARC 2 で、新品では買えないので、企業やアカデミック向けのリースが終了した「リースアップ品」を安価に入手していました。型落ち中古品、というやつですね。安価とはいっても、Sun SPARC 2 で 60万円なり。OS は SunOS 4.1.3 という BSD 系のものです。ディスプレイに HDD と買いそろえていくと金が足りないので、外付け CD-ROM ドライブは借りた記憶があります。

高価なワークステーションのくせしてデリケート

価格と裏腹に、今の頑丈になった PC ハードウェアからすると信じられないほど脆いのが Sun でした。

グラフィックスボードは、静電気に極めて弱く、帯電した手でビデオ出力端子にちょっと触れて火花が飛んだだけで静電破壊を起こすので注意するように、と言われました。(実際、壊した人を見たことがあります。合掌。)

NVRAM も厄介でした。一台一台のワークステーションに固有のシリアルNo. や MAC アドレスを記憶しています。現在の PC では、BIOS 設定を覚えておくためのバッテリーは市販のボタン型電池で、マザーボードにアクセスして容易に交換できますが、Sun の場合は NVRAM がバッテリーを内蔵、つまりチップの中に抱え込んでおり、あまり電源を入れずにホコリをかぶっていたようなリースアップ品だと、バッテリー切れを起こして起動しなくなって大騒ぎです。

保守契約を結んでいる企業であれば、連絡すれば交換してもらえるのですが、個人で中古をやっと購入するレベルでそんなもの結ぶわけがなく、バッテリー切れ即そのワークステーションの寿命という、死して屍拾う者なし仕様、今でいう漢気 (おとこぎ) あふれる仕様でした。 🙂

Sun SPARC と Sun ロゴの厚遇を望む

Oracle の Sun 買収後の動向として、Java, MySQL の扱いがどうしてもクローズアップされていますが、Sun SPARC サーバのビジネスはぜひ継続してほしいですね。Sun ロゴを Oracle に変更する、といった無粋なことはしないよう祈ります。このロゴは IT 業界に昔からいるものにとっては、印ばんてんの背中に書かれた漢字と同じで、江戸っ子の「粋」の象徴みたいなものなので。

印半纏

3件のコメント

  1. 隣の住人

    仁礼さん、こんばんは。SPARCを個人でお持ちだったんですね。マニアですなー。実はわたしは、以前CTCにいたので懐かしい話です。個人で所有していた人は社内にもチラホラいましたよ。
    確かに一つの時代が終わった、という感じですね。クラウドの始まり、所有するより使う時代へ移行するんでしょうかね・・・
    IT界ほど変化の激しい世界はないように思います。
    生物の進化と一緒で、強いものが生き残るのではなく、変化に対応するものだけが行き続ける、というのはいろんなものの世界に共通することなのかもしれないですね。
    セールスフォースが最近すごい攻勢かけてますよね。あそこはオラクルにいた人が創ったものらしいですよね。業界、この先どうなるんでしょうね。。。

  2. nire

    住人さん、おはようございます。

    SPARC のリースアップ品は、さすがに CTC の横長シルバーのステッカーが貼ってあるものが多かったですね。

    クラウドは Web2.0 とかもっと古いところだと「マルチメディア」とか、すでに存在しているものを違う角度から呼び変えたに過ぎません。

    なんでも自鯖でやるのは趣味としても、なにをクラウドにアウトソースするか、なにを所有して残すかを分けるセンス、が求められるでしょう。

    三井住友とシティ提携でまた翻弄される日興コーディアル、の話も報道されてましたが、IT屋から見ると、金融も十分混沌としていると思います。

  3. 隣の住人

    おっしゃるとおりですねー。
    金融は今、オーバーバンキングの解消も再チャレンジですが、公的資金注入をもっと多く受ける先がある、と見込んでいたら、お上に経営指図されるのはゴメンだ、と案外申し出が少ないのが現状なんです。
    アメリカの投資銀行モデルとは日本の証券会社のことなので、アメリカはのきなみ、投資銀行が商業銀行)へシフトしてるため、自己資本規制、つまりBIS規制がきついんですね。相当資産がへこんでますので、査定も難しい・・・
    欧州とアメリカの足並みがそろわないので、どうなるんだか。
    グローバルからローカルに戻るのかしら。。。と想像しつつ。
    日興は日系証券の中ではよい方なので、買うのもアリでしょうけど、また増えすぎた人員をリストラするんでしょうね。
    レーガン政権以降、金融ビジネスに入ってきた人材が今、行く先を失って、相当数がいまだ路頭に迷っています。
    果たして、MBA保有者など高学歴の中途採用を安い給料でどこまで受け入れる先があるのか?受け入れる人がいるのか?
    あんまり高学歴も、年齢いくと、かえってやっかいですもんね。
    ほどほどが一番かも。
    金融は経済を支援する程度で十分です。
    なのに、今は、でかくなりすぎた金融が経済を振り回してしまい・・・
    孔子曰く「中庸がいい」
    やはり、中国の時代かしら。

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