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美容室に行ったときにレーシックの話題になって、「レーシックって、受けると白内障になれないんでしたっけ?」と聞かれました。確かに白内障に関しての情報は色々入り乱れていて、誤解しそうになる点もあります。

白内障とは

見ようとしたものに遠くても近くてもピントが合うのは、眼の角膜の後ろに透明なレンズがあって、その厚みを変えることができるからです。このレンズが水晶体です。ところがこの水晶体、さまざまな原因によって白く濁ってきます。ピントを合わせることができたとしても、霞んだりぼやけたりして見え、結果として視力が低下します。これが白内障です。俗称で白底翳 (しろそこひ) とも呼ばれます。

白内障の原因と予防

白内障にかかる理由はたくさんありますが、一番多いのは老人性白内障と呼ばれる、加齢現象によるものです。30-40代から徐々に進行し始め、80代でほとんどの人がかかります。40代で 10% という説もあれば 30% という説もあります。人によって差があるだけで、年を取れば取るほど高い確率でかかりやすくなり、避けようがありません。

濁ってしまった水晶体を再び透明な状態にもどすことはできないので、他の原因をできるだけ取り除いて、少しでも白内障が進行するのを遅らせる必要があります。たとえばアトピー性皮膚炎、糖尿病、栄養失調、そして紫外線です。

レーシックと白内障の関係

YES / NO 形式で、よくある誤解についてまとめておきましょう。

  • レーシックすると、白内障にかかりやすい … NO
  • レーシックすると、白内障にかからない … NO
  • レーシックすると、白内障が治る … NO
  • レーシックすると、白内障の手術が受けられない … NO
  • レーシックすると、白内障の手術はできるが、やり直しの可能性が高まる … YES
  • 白内障の人は、レーシックが受けられない … YES
  • レーシックしていても、しなくても、白内障の予防は必要 … YES

つまりレーシックと白内障の間に因果関係はありません。しかし、白内障に先にかかっているとレーシック手術が受けられないのは確かで、そのことが上記の “NO” のように混乱して伝わっているように思えます。

「やり直しの可能性が高まる」のは次の理由によります。レーシックは角膜のカーブをエキシマレーザーで変える手術ですが、白内障の治療は水晶体を超音波で除去して、代わりに人工のレンズ (IOL) を埋め込みます。

白内障で使う IOL の度数はどうやって決めるのか

IOL には、メガネやコンタクトと同様度数がいくつかあり、眼軸の長さや角膜の屈折度を計算式に当てはめ、患者に最適なものを選びます。レーシックの場合、ズーム可能な水晶体が残っているので、多少は眼の方でつじつまを合わせることもできますが、IOL ではその水晶体を、調節機能のないレンズに交換してしまうため、度数のズレが術後の快適さに大きく影響してきます。

ところが、レーシックを受けている場合、一般的な眼の人用に用いられている式に当てはめても、度が合わないことがあるようです。その場合、仕方がないので、また手術でレンズを取り出して交換する必要があります。

Wikipedia より

術後目標屈折値にあう眼内レンズの度数の計算方法は様々あり、SRK、SRK-II、SRK/T、Holladay、Hoffer-Qなどがある。(中略) また近視矯正手術を行っている眼は上記計算式では、対応しきれず度数ずれすることが知られており、術前の角膜形状解析のデータがあった方がよいとされる。

ちなみに、私が手術を受けた錦糸眼科で診察を受けたときに聞いてみました。

Nire: 「将来的に白内障の手術をすることになったら、手術前のデータとか必要なんですよね?」
執刀医: 「もし他院で手術を受ける必要があった際には、病院間の情報提供として必要なデータは提供します」

とのことでした。角膜形状解析 (トポグラフィー) のデータなんて取っていただろうか…。今度の検診のときにでも聞いてみます。

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