たまには北京五輪の話題を。100メートル男子平泳ぎの、北島康介選手の世界新 + 金メダルは接戦だっただけに衝撃的でした。それに比べて、200メートルは安定していたものの、世界新記録が出なかったので残念でしたね。

自分でも水泳を続けていると、順位やタイムよりも、泳ぎ方の技術に目がいってしまい、天井からの映像はいいから、水中映像を頼むと思ってしまうのは私だけではないはずです。 🙂 なんだか気になったので、直前に放送していた NHK の「トップランナー・アンコール」に登場した北島選手の昔の泳ぎ方と見比べてしまいました。

ストローク数を減らして大きくなった泳ぎ

北島選手の泳ぎは他の選手と比べても、ストローク数を減らしてゆっくりと大きな泳ぎであることが分かります。100メートル平泳ぎでは前半 16ストローク + 後半 20ストロークで計 36ストロークという少なさです。1ストロークかいている時間を出すと、前半 28秒03 だったので、1.75秒 / ストローク。後半が 30秒88なので 1.54秒 / ストローク。後半は追い上げのためか頻繁にかいているということになりますね。

トップランナー・アンコールにシドニー五輪のときの映像がありました。部分的な映像なので、おおよその 1ストローク分を測ってみると 1.1~1.2秒 / ストロークぐらいで、見た目にもこんなに急いでかいていたのかと思うぐらいです。上半身の筋力やフォームの調整で、ゆっくりでも効率の良い泳ぎに変化したのでしょうね。

200メートル平泳ぎは後半に改善の余地が…?

200メートル平泳ぎでは、前半は同様にゆっくりとした泳ぎで、しかも完全に世界新の緑のラインを越していたので、今回も世界新 + 金メダルのダブル快挙かと期待したのですが、後半 20メートル程度でかくペースを上げている割に、スピードが上がっていないように見えたのが残念です。

私の場合、平泳ぎが苦手なのでああでもない、こうでもないと色々工夫しようとしますが、確かに、必ずしも慌ててかいても、その分速くなるとは限りません。平泳ぎの場合特にそれが顕著です。ちょっとした足の先の向きや、丁寧に蹴っているかどうかなどで全然違ってくる気がします。

後半追い上げるパターンはさほど 100m と変わっていないように思えますが、レース開始時間が早かった点、ブレンダン・ハンセンが 200メートル平泳ぎで予選落ちしたことで、燃えるライバルがいなくなったというメンタルな面など、が影響して、残り 50m の 1かき1けりパターンの微妙なゆれがあるのかもしれませんね。

水着問題で、契約しているミズノの水着でなく、スピード社のレーザー・レーサー (LR) を着て試合に臨んでいたので、一瞬、勝算の高い 200メートルでは義理堅くミズノに戻したのかと思ってしまいましたが、そのような報道は無いようですね。

緊張状態で最高の力を発揮するためのトレーニング

「トップランナー」では、北島選手が会場からの質問に答えて、「ボクでもすごく緊張する」「緊張しないと 100% 120% のレースができない」「緊張を通り越してビビって震えて何もできないというのは、その前の課程で不安を抱いてしまっているからで、その不安をなくすために普段のトレーニングで妥協を許さない」と言っていました。

2006年 4月にこれが放送されて以降、その普段のトレーニングを延々と積み重ねてきてきっちり結果を出したわけで、一度金メダルを獲得しても、記録に挑戦するという次の目標を設定して、周囲がレーザー・レーサーで浮き足だっても “I AM THE SWIMMER” の文字を掲げて試合に臨むなど、反骨精神にあふれたキャラはなかなか良いと思います。

重圧もすごいと思いますが、自分の意志で設定した目標に挑戦し続けてほしいですね。