秋葉原 UDX 2F のアキバ・スクェアで行われた Intel in Akiba 2008 Summer に 8月3日午後から行ってきました。やはりお目当てはオーバークロックの世界記録保持者 New Beetle, duck 氏のセッションです。

このイベント、インテルの新しい 45nm シリコン・テクノロジーによる CPU ラインナップと、モバイルテクノロジー Centrino2 のプロモーションイベントなのですが、インテルの出展や PC メーカー各社の出展だけでなく、その場で PC の購買予約ができたり、開催期間に合わせて秋葉原の店頭でもインテル製品のキャンペーンが行われていたりして、イベントで購買意欲を刺激された後は、そのままお買い物にどうぞ、という趣向のようです。

オーバークロックというのは、CPU やマザーボード上のチップセット、メモリなどを定格以上のスピードで動作させることです。クロック周波数、電圧などを上げていけばいいわけですが、そのままでは過負荷に耐えかねてパーツが熱暴走したり、破損するので、冷やします。

オーバークロックのマニアがオーバークロッカーですが、彼らを集めて行う試合まであるようです。

カジュアルな冷却方法は、ヒートシンクや純正 CPU 付属のファンによる冷却ですが、だんだんそれでは発熱に追いつかなくなるので、ペルチェ素子、水冷、とエスカレートしていき、現在オーバークロッカーが好んで用いるのは液体窒素です。液体窒素は沸点が -196度という低温で、魚の目の治療とか、生体組織の冷凍保存に使われるアレですね (ちょっと分からない例え 🙂 )。

CPU の水冷システムだけでも、十分フツーの人達を引かせるものがありますが、液体窒素冷却ではもっと見た目が理科の実験みたいで、水分によるショートを防ぐためにマザーボードの表裏を保護材で「養生」し、CPU とノースブリッジの真上には液体窒素注入用の専用ポットがそびえ立ち、文字通り「さわるな危険」状態でした。ブースで実演も行われていましたが、完全に来客と実演ブースを透明なアクリルか何かで遮って、安全を確保した状態で見せていました。

液体窒素冷却の難しいところは、セッションの要点をまとめると、液体窒素があるからとといって、最初から余分に冷やしておいてもダメだということですね。CPU の動作温度というと上限に目がいきがちですが、0℃付近に下限もあるため、動作温度範囲を超えないように冷却の強さを調節しながらオーバークロックしていくあたりに匠の技があるようです。

液体窒素はリッター 1,000円程度するらしく、今までオーバークロックに使った金額はと聞かれて、duck 氏の場合は壊したパーツと合わせて天文学的数字の金額を今までにつぎ込んだとのこと。New Beetle 氏の回答は、どうも内緒にしておきたいらしいので書かないことにしましょう…。

アンテナの出力を競うアマチュア無線と似ているオーバークロック

オーバークロックは、やりすぎるとパーツの寿命を縮めてしまったり、動作が不安定になります。サーバメインのうちの環境では、どちらかというといかに少ないランニングコストで、効率的に物理 PC に仮想サーバを詰め込んで動かすか、というところに面白さを見いだしているので、オーバークロックはお遊び程度にしかやったことがありません。

ただ今はお休み気味ですが、アマチュア無線の世界では分からなくもないですね。これも楽しみ方は人それぞれですが、携帯電話のようにそこらじゅうアンテナが立っていて通信事業者が中継してくれる世界ではなく、自分の通信設備だけで地球の裏側と交信しようとする世界です。アンテナの巨大さとか、送信出力のワット数上げすぎてアンテナ溶けるといった会話とか、あり得ない大きさ、高さ、数量、距離、時間といったあらゆる軸でのスゴさを実際にやったヤツが賞賛される世界です。

2アマ免許 ((第二級アマチュア無線技士)) を使わずに眠らせておくのも勿体ないし、ぼちぼち何かやろうかねぇ、と、インテルの意図とは違う刺激のされ方をして帰ってきたのでした。 🙂