OCZ NIA (Neural Impulse Actuator) は、脳波を検出するヘッドバンドを額に装着した後、キャリブレーション (Calibration) が必要です。キャリブレーションの正否が、使い勝手を決めるといっても良いでしょう。ここでは、数日間、試行錯誤した結果を私なりに書いてみます。けっこう個人差のあるデバイスだと思いますが、「使いこなしてみせるさ」と思っている人の参考になれば幸いです。

ヘッドバンドの取り付け位置と Glance

ヘッドバンドは、3つの菱形が左右ちょうど真ん中に来るようにあわせ、高さ的には前頭葉からの信号を検出できるよう額の上下真ん中に取り付けます。頭髪などがセンサーの下敷きになってはいけません。額のカーブを考えて、ひし形の接触面積が広く、できるだけぴったりつくような位置に取り付けます。マニュアルだと、ローションを塗ってもいいですね、なんて書いてありますが、かつてのアブソニック ((EMS … 電極を貼り付けるタイプの家庭用筋トレマシン)) ではあるまいし、そんな面倒なことできません。

位置に一番影響されるのが Glance (左右方向のチラ見) の検出です。うまく検出できれば、目が右を向こうとすれば右、左を向こうとすれば左、と NIA が正しく検出してくれます。ヘッドバンドには左右の区別がないので、設計と裏返しに取り付けても、ソフト側で Normal / Reverse を切り替えることができます。しかし実際には、目以外に、眉やまぶた、ほおの引きつり、額にシワが寄るような持ち上げる動きなど、周囲の表情筋が動こうとすれば何でも反応してしまいます。

マニュアルでは、上下の位置調節について次のように言っていますが、

  • 目の近くに取り付けた方が、眼球運動 (というか Glance) を正確に検出しやすい
  • でも下に取り付けすぎると、しゃべったときの眉の動きなどでセンサーの密着が妨げられる

でも、それって表情の動きが日本人より大きい欧米人向けの説明だよなあと最初思い、ためしに眉毛をカスるように真上あたりに取り付けてみたところ、どうも思ったように Glance に追従してくれませんでした。

「ウィンク」や「目を動かさずに目に力を入れる」という意味のことを書いている方もいて、確かにそれで Glance のゲージが反応はするのですが、右をウィンクしたのに Glance ゲージはある時は左だったり、右だったり、どうも表情筋への指示をすべて拾ってゴチャついている感じがします。

ところがある時、もっと額の上の方、髪の生え際寄りにつけてみたところ、ミスクリックはありますが、Glance の認識率が劇的に上がりました。右を向けば右、左を向けば左。

個人差があると思うので、マニュアルの記述にとらわれすぎずに、位置を変える → Calibration → Test を繰り返して最適な位置を探すのが良いでしょう。

キャリブレーション (Calibration) するときの姿勢と Muscle

キャリブレーション (Calibration) は、脳波の強さや使っている環境が人によって異なるので、リラックスした状態を測って基準値とすることを言います。

キャリブレーションに一番影響されるのは Muscle (筋肉の動き) です。筋肉の強い反応なら何でもいいらしく、例えば手を真上まで挙手しても Muscle は反応します。でもそれでは入力するのに時間がかかりすぎるので、無難なのは奥歯を噛むことです。代わりに歯ぎしりする人もいるようですが、私の場合は歯をちゃんと上下かみ合わせて、「加速装置!」とぐっと力を入れるときれいに反応しました。

キャリブレーションする時、重要なのは

  • 力を抜いてリラックスした状態で
  • 実際にゲームプレイしている時の姿勢で
  • よそ見せずにジャイロスコープの絵を見る 🙂

ことです。

リラックスするというのは案外難しく、両腕や肩の力、顔の無駄な力を抜くだけでなく、歯を噛みしめたり、舌に無駄な力が入っていたりしても、力んでいる状態がデフォルト扱いになってしまい、on/off が正しく表現できません。

ゲームプレイしているときの…というのは、「FPS やりまっせ」の体勢で、キーボードやマウスに手をかけて、若干上体にテンションがかかっている状態で使用するなら、それでキャリブレーションするべきだということです。リラックスしていた方がいいからといって、椅子にだらしなくもたれて「苦しゅうない」状態でキャリブレーションしても、プレイ時にキーボードに手をかけると、それだけで Muscle が反応することがあります。

ジャイロスコープを見るというのは、キャリブレーション中に無駄な視線移動が多いと、Glance の左右を検出するしきい値が、通常の真ん中から左右に偏ってくるようです。

これは Test 画面のスクリーンショットで、1枚目が偏っていない状態、2枚目が左が偏っている状態です。

もともとそういう「信号特性」な人は偏りで OK だと思いますが、まっすぐ前を見ていないと実際と違う値がデフォルトにされてしまうようです。

キャリブレーション後に見るポイント

キャリブレーションは、1回では満足のいく結果にならないことがあるので、見るべきポイントをいくつか書いてみます。

Calibration Successful の画面で、Baseline の赤い線が、Muscle Signal の黄色いジグザグ波形の真ん中を貫通しているようにします。キャリブレーション後、姿勢が変わったり、表情が少し変わってセンサーの接触面積が変わったりしただけでも違ってきます。結果として、Muscle Signal のほうが上ずっていたり、下で地味に動いている状態ならやり直します。
次に Test ボタンをクリックして、視線を左右に振ってみて Glance の動きとだいたい合っているか、奥歯の噛む力を少しずつ強めてみて、スムーズに Muscle のゲージが上がっていくかをチェックします。視線が思ったのと左右逆の場合は、ラジオボタンで Normal / Reverse を切り替えられるので、逆で試してみます。