スクウェア・エニックスの MMORPG “Final Fantasy XIV” を 3日プレイしてみた感想の続きです。人間関係が薄まったと思った理由についてと、FF11 プレイヤーはなぜ戸惑うのかという話。
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もう「絆」じゃなくなった戦闘
FF11 初期は、一定のキャラクターレベル以上は 6人のプレイヤーによる PT (パーティ) 構成によってもっとも効率よく強い敵が倒せ、経験値にもボーナスがつき成長に加速がつくため、PT プレイが基本のゲームスタイルでした。 ((今の FF11 はもっと大人数のアライアンスプレイや少人数プレイも普通に行われるみたいですね。))
モンスター 1匹を釣り役のプレイヤーが引っ張ってきて、弱体魔法をかけ、戦闘職が連携と呼ばれるコンボ攻撃をタイミングよく決めることで大きなダメージを与える。モンスターの特性にあった攻撃手順と役割分担がこなせて初めて効率よく「とてとて」(とても強いモンスター) が倒せるという 1:6 が基本の戦闘システムでした。
Lineage II の場合、敵 mob をプルしてきたら基本的に大勢で叩くだけです。あり得ない数の mob が同時にリンクして襲ってきて、それをこちらも最大 9人 PT でタコ殴りにするという、多対多の戦闘です。
FF14 ではその中間という気がします。2-3匹の複数リンクは初期の狩り場からあたりまえ。モンスターの弱点属性や、プレイヤーのバトルレジメン (連携攻撃) は FF11 から引き継がれています。しかし適当にメンバー構成しても、人数に応じて強い敵が倒せてしまい、ボーナスでお金も儲かります。戦略性が薄く、みんな呼んでこいパーティプレイ…という印象を受けます。
リンクシェルでも薄まっていく絆
Lineage II では血盟と呼ばれる概念があります。基本はチャット同報グループというかギルドですが、血盟単位で攻城戦を行い、勝ったところが城主となり莫大な権益を手に入れることができます。
攻城戦のために利害が対立する血盟同士では、血盟戦を宣言して、平常時にも敵対血盟のキャラクターをペナルティなしに殺害できるシステムがあり、共通の “敵” に敵対感情を抱く同志という、殺伐としていますが強固なつながりがあります。制作した国の違いがゲーム仕様にも現れています。
FF11 ではリンクシェル (LinkShell, LS) と呼ばれる同報グループがあります。血盟のようにゲーム仕様に LS 同士の利害対立システムが内包されているわけではありません。同時に複数の LS に所属する (リンクパールをもらう) ことはできますが、同時に見られるのは 1チャンネルの LS だけで、LS を一時切り替えるときは、一言断ってからチェンジする習慣が見られます。
FF14 でも LS は健在ですが、違うのは同時に複数 LS のチャットをウォッチできるようになっている点です。
活発な LS に複数入ると、チャットウィンドウに複数の LS での発言が入り乱れて、相当見づらいことになります。Twitter で大勢フォローしてタイムライン上の発言全部は追い切れない状態に似ています。
逆に発言したものは、Twitter ならフォロワー全員に伝わりますが、FF14 の LS では発言できるカレントシェルを 1つだけ選ぶようになっており、カレント以外のシェルから見ると、参加しているのに寡黙なヤツに見えてしまうと。
結局、1つの LS と仲間を大切にするカルチャーはより薄まっていくんじゃないかと思います。
FF11 プレイヤーは逆に戸惑いを覚えるような気がする
FF11 は 2002年2月、FF14 は 2010年9月と、実に 8年以上の開きがあります。その間に、日本の MMORPG の地位は低下し、アジアでは韓国に Lineage, Lineage II 他膨大なタイトルにより MMORPG 王国の座を奪われ、欧米では World on Warcraft (WoW) は 2006年時点で 750万ユーザーを獲得しました。
ネット上でのコミュニケーションスタイルの変化や、欧米 / アジアでの MMORPG のシェアの変化が FF14 の仕様にも現れていると言えます。
しかし、Final Fantasy シリーズが一貫して持っている、暗いメインストーリーの中にも遊び心のきいたグラフィックスやネーミングセンス、死亡することへの慎重さ、戦闘のテクニカルさ、ある種日本人的な仲間意識といったものを期待している人には、FF14 はずいぶん違ったゲームに見えると思います。
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FF XIVにははっきり言ってがっかりしました・・・