ニンテンドー 3DS の裸眼立体視について。レーシック手術後の目で立体に見えるのか、適正距離が意外に近くて、遊びが少ない話。3D だと近眼になりやすいのでしょうか。

立体度が調節できる 3D 裸眼立体視

Nintendo 3DS のウリの一つに、3D メガネも何もかけないで、液晶に映ったものが立体に見える「裸眼立体視」があります。

3DS での裸眼立体視は、おそらくシャープが 2002年から実現している視差 (パララックス) バリア方式を採用していると言われています。左右の目に少しずつずれた絵を見せることで立体に見せかけますが、3DS がユニークなのは、どれくらい立体に見えるかという「立体度」を可変できるボリュームがついていて、自分で立体表現の強弱を調節できる点です。

操作感的にはまあ正直、お金のかかった高級感のあるスライドボリュームではないのですが、確かに左右の絵のずれ方がアナログ的に変更できます。一番下まで下げると、3D 描画ではなく平板な 2D 画面に変更されます。(一瞬画面が切り替わる感じがする)

ボリューム 0 でビシッと 2D 画面になるところは、液晶パネルの技術的にかなりハードル高いような気がしますね。

レーシック眼で 3D に見えるのか?

私の場合、近眼の矯正のためレーシックを行って、視力が 1.2~1.5程度あります。ちゃんと 3D に見えるんでしょうか。

ヨドバシカメラ店頭でいくつかのゲームタイトルで試してみましたが、特に問題なく 飛び出すものは飛び出して、引っ込むところは引っ込んで見えます。

心地よい 3D ボリュームのセッティングはタイトルにもよって異なり、私の場合は下から 60% ぐらいの「立体度」がちょうど見やすい気がしました。

レーシックの「近視の戻り」防止用に老眼鏡を持ち歩いていたので、かけたり外したりしてみましたが、立体度は特にメガネをかけたからといって劇的に変わるわけでもないようです。結局、生まれついての左目と右目の間隔 (PD) と、見ている距離によって最適な 3D ボリュームセッティングが決まるものと思われます。

読書並みに近づかないと立体に見えない

3DS のマニュアルでは、3D 映像をきれいに見るには 25cm~35cm の距離にするよう書いてあります。

私がいまだに愛用している +2.0D 遠視鏡の焦点距離は 50cm です。手を伸ばした距離 (50cm) 以上で PC のディスプレイなどを見ている限り、目は無限遠にものがあるように感じ、負担は最小限になります。

ところが 3DS で立体視するためには、50cm の半分~7割の距離まで近づいて見なければいけないことになり、それだけ負担はアップします。この老眼鏡でこの用途には役不足です。

読書するときを考えると、25cm というのはそれほど近すぎるとは言えませんが、焦点距離 25cm にぴったりあった老眼鏡の度数は +4.0D になります。今度、携帯ゲーム機用に新たに買おうかしらん。

立体深度を上げると「遊び」が無くなる

よく言われているように、目の位置と見る角度は、動かさないようにする必要があります。少しなら平気ですが、あるていど視点が左右にずれると、絵も左右にずれて見えてしまいます。3D ボリュームを上げるにつれて、この「遊び」は徐々に小さくなっていき、3D に見える範囲が狭まっていくようです。

内蔵アプリ「顔シューティング」のように、内蔵ジャイロセンサーで動きをセンスするタイプのゲームとの相性は悪いようです。なぜなら本体をブン回す必要があり、エキサイトしてくると見る角度がずれがちになるからで、立体度は下げた方が良いようです。

3D 液晶は近眼になりやすいか

目の疲れはやはり 2D 液晶よりも大きいようです。試遊機で 5分プレイしただけでも、最初は目の疲れを感じます。これも慣れがあって、しばらくプレイしているうちにあまり強く感じなくなります。

子供を持っている親としては、3DS を買い与えて果たして目が悪くならないのかがやはり心配ですね。

立体視イコール近眼とは言えないと思いますが、しいて原因を挙げるなら

  • 慣れない立体視のため、目や脳が緊張を強いられる
  • 35cm 以下の近業により、焦点を合わせる毛様体筋の緊張状態が続く
  • 視点をほぼ固定するため、眼球の動きをつかさどる筋肉 ((上直筋、上斜筋、内直筋など)) の緊張状態が続く

といった要素の集まりで、結果として近眼になりやすいと言えるかもしれません。

昔「カラーテレビを見ると目が悪くなる」なんて言われた時期があるらしく、それと同じで

三段論法の 1段目と 3段目を面倒だから直結しました!

みたいな話に思えます。未知のメディアに対するアレルギー反応と言えるかもしれません。

次回はペンとかクレイドルとか。