Nikon D4S と SIGMA 85mm F1.4 EX DG HSM で「緑かぶり」を起こす件の続き。シグマとニコン社でやり取りしてもらった結果、ようやく問題が解決しました。原因は…。

わずか 2つのレンズのレアケース

しばらく音沙汰ありませんでしたが、預けてから 1週間余りで、私の D4S が返ってきました。

シグマ社員:「ニコンさんで事象の発生を確認したとのことで、修理品が戻ってきました」

これがニコンからの納品書。デジタル基板部を調整していて、送り返し先が仁礼ではなく、川崎のシグマカスタマーサポートになっています。

修理品 納品書: Nikon D4S

レンズは問題なしでした。

「弊社の SIGMA 85mm 以外に、ニコンレンズの 50mm f/1.8 でだけ発生する、とお聞きしています」

「あれ、私は最近まで AF-S Nikkor 50mm f/1.4 持ってましたが、まったく現象は発生しませんでしたね?」

「同じ 50mm でも、f/1.4 で発生しなくて、f/1.8 でだけ発生するということはあり得ます。これはニコンさん公式の回答ではなく、私見ですが、」

そこでいったん言葉を切るシグマ社員。

「取り付けたレンズ背面から、カメラ本体のイメージセンサーへの光の入り方というのは、センサー全面に均等ではありません。しかもレンズの機種によって少しずつ違うんです。」

「フランジバック ((正確にはレンズマウント面から、イメージセンサーまでの距離)) 部分の違いってことですか。」

「そうです。仁礼さんの D4S は一度修理されてますよね。」
「ええ、イメージセンサーユニットと基板を交換したって聞いてます」
「交換後のチェックは、いくつかレンズを交換しながら調整します。レンズごとの光の入り方が違っても、今回のように写りに異常が発生しないようにです。そのチェックから 50mm f/1.8 が漏れていたのではないでしょうか。」

「そんなことがあるんですかね…。」
「大型の機材でチェックするんですが、レンズ 1つ分をチェックするのにかなり時間がかかるんです。」
「網羅的にチェックしきれないと。とは言っても、困りますね」

このワンショットにかけろ

ニコンから修理済で返却された D4S は、梱包材が未開封の状態のまま渡されました。つまり修理後、D4S + SIGMA 85mm でテストするのは私が初めてということになります。

シグマ社員も固唾をのんで見守る中、白いシグマの紙袋に向けて 1枚、慎重にパシャリ。

「おっ、いいですね。」
「周辺光量落ちだけになりましたね。キレイに緑かぶりはなくなってます。」

Nire:「先日、修理の結果として、ピント位置が変わったら教えてほしいとお願いしてありましたが、結局大丈夫なんですか?」

シグマ社員:「はい、部品交換はしておらず、基板の調整のみですので、変わっていないと聞いています」

一応確認のため、待ち合わせ場所で天井に向けて撮ってみます。

「レンズにもよりますが、SIGMA 85mm の場合は、被写体との距離 3m を基準として調整しています。3m 離れたものでフォーカスを確認されると良いと思います」

いくつか試してみましたが、暗い室内では明確に分からないなりに、特に前ピン / 後ピンのズレが発生していないことは確認できました。

D4S は価格なりの信頼性を見せてほしい

ということで、修理依頼から少し日数は経ちましたが、ようやく D4S + SIGMA 85mm 緑かぶり問題は完結しました。

シグマ社は、純正レンズではないサードパーティ製レンズメーカーということで、故障個所の切り分けが難しいケースは多いと思います。真摯に対応していただいて感謝しています。

後から買った Nikon D750 が、一時期騒がれたフレアが映り込むなどの不具合のイメージとは無縁で、さしたる故障もないまま稼働しているのに比べると、正直 D4S という機種に関しては、本当に一桁機なのかといいたくなるほどの脆弱っぷりです。

パーツの品質にせよ、組み立て後の調整にせよ、もう少しコストをかけてほしいと思います。