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セガ internet Adventure [iA] の CBT もあっという間に最終日ということで、ベータテスターをイベントキャラクターがツアーに連れて行ってくれるとのこと。

iA は、IE で別の URL にジャンプするときにアバターも iA 内の別の 3D 「アイランド」にワープしますが、「ウォール」と呼ばれるワープゾーンが元のアイランドにしばらく残ります。消えないうちに、他のアバターが飛び込むことで、同じ URL へ飛ぶことができ、複数のユーザーがひとつのサイトに集まることができるようになっています。

今回は、セガの担当者が操作するアバターがお勧めアイランドにジャンプし、ウォールにツアー参加者が群がってついて行く形でツアーが行われました。

行き先自体は、4gamer.net だったりセガ新製品のサイトだったりするわけですが、今後 iA に実装予定の機能についてもいくつか情報が聞けたのでメモしておきます。

3D Pia のアップロード

iA: 城
現在は、自分のサイトに含まれる 2D の画像やサイトのサムネイルしか置くことができませんが、今後 3D モデルを作成し、置けるようになります。CBT 以前から期待していた機能ですが、結局 CBT 期間中は公開されずじまいでした。

その 3D データの作成は市販のツールで行い、fbx 形式でセーブ。その後 iA 専用のツールでコンバートするようです。 (たぶん mdb 形式と呼ばれるものでしょう)

ツアーでは、何もない土地に城をアップロードするデモが行われました。

…は良いのですが、アップロードした城に埋まって動けなくなったり、アップロード直後に固まって回線落ちするアバターが続出し、

iA: 落ちた後の城

ツアーが空中分解して、スタート地点の公式アイランドからやり直すというハプニングがありました。

iA: ツアー中にみんな落ちた

実装予定の建築物

iA: セガ本社ビル

セガ本社ビルを模した 3D モデルもアップロードされていました。驚いたことに 1F ロビーの空間もきちんと作り込まれており、中には今後実装予定の建物の絵だけが陳列されていました。

iA: 実装予定の建物

いちおう名前だけリストしておくと、絵の左から次のようなテキストラベルが書かれていました。

  • パビリオン外装
  • 斜塔の迷宮
    ダンジョンのアトラクションができるとのこと。
  • ドラゴンデンキ
  • 宅配アット便
  • 遺跡モールの屋根
  • オーナールーム

他にもゴルフセンターのような建物が書かれており、おそらくミニゲームでもできるのでしょう。

ドラゴンデンキというネーミング、これだけで今回来た甲斐があったというものです 🙂 名前が気に入って大騒ぎする nire と、盛り上がるツアーの人たち。

iA: ドラゴンデンキ

今日のまとめ + 考察

3D データのアップロード

是非やってみたかったのですが、結局 CBT では実装されずじまいでした。おそらくユーザがどんな形式の 3D データをアップロードしてくるか分からないなか、どんな形状でも確実に当たり判定を出したり、ワープアウト時に建物を避けて位置を決めるための実装はこれからだと思います。

著作権はあらかじめクリアにしておくべき

以前書いたとおり、CBT の規約では「参加者が、βテストにおいて本ソフトウェアを使用して創作したコンテンツデータ」に対して、著作権や著作権人格権を主張することはできません。

3D データの場合、その制作は市販のツールなので、厳密に言えば「iA を使って作ったわけではない」ため、従って 8条は有効にはならない、ということになると思いますが、3D データのことまで考えずに書かれている節もあり、やや曖昧さが残ります。

レンタルブログや SNS での著作権問題は以前からありますが、Mixi の規約問題で急激にクローズアップされ、利用者の関心も高まっています。

  • 自分でもともと運営しているサイトからパーツとしてアップロードした 2D / 3D コンテンツの著作権は。
  • 独自パーツ + セガが提供するハウスなどをプラスして、できあがったアイランド自体のデータ (Pia リンクの集合体で色々デコレーションされた「俺のアイランド」) の著作権はどうなのか。

どんぶり勘定で、セガに全部帰属する形では利用者のモチベーションにも影響しますし、あとあと炎上を招く可能性はあるでしょう。少なくとも上記のような場合分けをして、説明することが求められます。

ゲームなのか、メタバースなのか

方向性としては URL 上の既存の Web サイト / ブログなどのコンテンツオーナーに提供するメタバースの色彩が強いように思います。しかしモンスターがいたり、アイテムが持てたり、ダンジョンが実装予定だったりと、現時点では作り込みはまだながらも、MMORPG 的な要素も徐々に打ち出していくようです。

iA は設計上は、セカンドライフのようなメタバースを期待してやってくるユーザと、シナリオやゴールの設定されたゲームをプレイしたいユーザの両方が集まってくるはずです。

しかし前回書いたように、上記の両方を追求した結果、競争原理が働くような、いわゆるゲーマーが「燃える」仕様にならない、メタバースとしてもだだっ広いばかりで他のユーザがどこ (の URL) にいるんだか分からずコミュニケーションが取れない、といった不完全燃焼な状態で終わってしまう危険性もあります。

その辺のゲームバランスや、両方の目的のユーザをうまく誘導するシナリオを作っていってほしいですね。

ベータテストの次の段階は未定のようですが、何もない現状でも期待させる要素はあるので、またプレイする機会があれば書いてみたいと思います。