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そもそもブレーキランプは法律で何か位置や明るさを制限されてはいないのでしょうか。また「光害」との関係についても考えてみます。

いわゆるブレーキランプには、車両の左右についているストップランプ (制動灯) とハイマウントストップランプ (保持制動灯) の 2種類があります。国土交通省が定める「道路運送車両の保安基準」の中で、それぞれ基準が定められています。

ストップランプ (制動灯)

そもそもストップランプ (ブレーキランプ、制動灯) は、他の交通を妨げてはいけないとされています。

第39条第2項  制動灯は、自動車の後方にある他の交通に当該自動車が主制動装置(牽引自動車と被牽引自動車とを連結した場合においては、当該牽引自動車又は当該被牽引自動車の主制動装置。以下本条及び次条において同じ。)又は補助制動装置(主制動装置を補助し、走行中の自動車を減速させるための制動装置をいう。以下同じ。)を操作していることを示すことができ、かつ、その照射光線が他の交通を妨げないものとして、灯光の色、明るさ等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない。

じゃあ、妨げないような基準がきっと書いてあるのだろうと思い、明るさについて探してみると、一定のワット数と大きさ以上になるように、としか書いてありません。

第263条 制動灯の灯光の色、明るさ等に関し、保安基準第62条の4第2項の告示で定める基準は、次に掲げる基準とする。(中略)
一 制動灯は、昼間にその後方 30m の距離から点灯を確認できるものであり、かつ、その照明光線は、他の交通を妨げないものであること。この場合において、その光源が 8W 以上で照明部の大きさが 10cm2 以上であり、かつ、その機能が正常である制動灯は、この基準に適合するものとする。
二 尾灯と兼用の制動灯は、同時に点灯したときの光度が尾灯のみを点灯したときの光度の 3倍以上となる構造であること。

位置は、上限が決まっていますね。

第263条第2項 制動灯の取付位置、取付方法に関し、保安基準第62条の4第3項の告示で定める基準は、次に掲げる基準とする。(中略)
二 制動灯は、その照明部の中心が地上 2m 以下となるように取り付けられていること。

ハイマウントストップランプ (補助制動灯)

ハイマウントストップランプは平成 14年以降、道路運送車両の保安基準で設置が義務づけられています。やはり、他の交通を妨げてはいけないとしています。

第39条第2項 次に掲げる自動車(二輪自動車、側車付二輪自動車、三輪自動車、カタピラ及びそりを有する軽自動車並びに被牽引自動車を除く。)の後面には、補助制動灯を備えなければならない。
一専ら乗用の用に供する自動車であって乗車定員十人未満のもの

第213条第1項
一 補助制動灯の照射光線は、他の交通を妨げないものであること。

高さについては「一定の高さ以上に設置せよ」という意味のことが書いてあります。

第213条第3項 補助制動灯の取付位置、取付方法等に関し、保安基準第 39条の2第3項の告示で定める基準は、次の各号に掲げる基準とする。(中略)
二 補助制動灯は、その照明部の下縁の高さが地上 0.85m 以上又は後面ガラスの最下端の下方 0.15m より上方であって、制動灯の照明部の上縁を含む水平面以上となるように取り付けられていること。

明るさの規定はないようです。

Wikipedia には「高すぎてもリスクがある」と書いてあります。

実際に効果を発揮する夜間において、1灯、あるいは2灯のみのハイマウントストップランプを視認した場合、遠近法から、実際より車間距離が遠く見え、追突の可能性が逆に高まる危険性がある。このことから、各方面で尾灯の高さを制限する動きが見られる。

保安基準は後続車ドライバーの目の安全など考えていない

保安基準を見る限り、大きく、高出力にするように、後続車ドライバーの目に刺さる高さにするように、といった基準しか書いていないように思えます。上限が定められていない一方で、ストップランプに使われる LED はどんどん高性能化していて、「高輝度」「超高輝度」「高照度」などを強調した商品がネットにあふれています。

保安基準の方が、こうした高照度化の時代に見合っていないのかもしれませんが、それにしても、クルマの設計、クルマを選ぶドライバーの心理も含めて

「明るく目立つ位置でアピールすること = 安全」

だと勘違いしてしまっている気がします。クルマのスペックを追い求めるのと同様、「高」とか「超」とかつけとくと、買いたくなる男の子心理も相まって、そうした傾向を助長しているように思えます。

自動車が加害者になる「光害」という概念がない

車のストップランプ、ヘッドライトの過剰な明るさは「光害」とは言わないのでしょうか。

環境省の「光害対策ガイドライン」を見ると、光害というのは照明の天体観測への影響、生態系への影響といったスケールのもっと広い環境への影響も色々ふくめた、定義の広い概念であることが分かります。それぞれの影響については同意しながらも、どうも全体に止まっている照明のことばかり論じられているような気がしてなりません (街路灯、看板、自動販売機)。自動車というキーワードは出てくるのですが、屋外照明等ガイドラインによるとそういった道ばたの照明によって影響を受ける方、として位置づけられています。

同様に Wikipedia では

昼間、ビルの窓ガラスに太陽光が反射して生じる影響についても、自動車の安全運転などに支障をきたすことなどにより、一種の光害とされる

つまり「光害」が自動車の運転に与える影響は考慮していても、自動車光害の原因になるといった考え方はないようです。

今日のまとめ

保安基準に上限の規制がない中、無制限に LED ブレーキランプの照度が上がり、ヘッドランプ並に明るくなっていくのにはドライバーとして危険を覚えます。日本人は近視の多い国民ですが、逆にレーシック手術を受けて夜の明るさに弱い人が増えれば、一時的な不快感だけでなく、具体的な事故や病気につながると思います。新しい「光害」の形として、ぜひ考えてほしいものです。

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