D11LC

イーモバイルの USB に挿して使うタイプのデータ通信専用カード D11LC / D12LC は、軽量な反面、使うたびに PC にいちいち挿すのが面倒、という最大の欠点があります。

さらに iPod Touch, ニンテンドー DS, DSi やソニーの PSP といった携帯ゲーム機にはそもそも USB ポートがないため、そもそも使えません。それを解決してくれる無線 LAN とのルータやソフトが、いくつか出始めています。

Windows Mobile スマートフォンを無線ルータ化する WMWifiRouter

WMWifiRouter が対応している機種のひとつ Touch Diamond S21HT

Touch Diamond

イーモバイル使いの間で今まで流行っていたのは、Windows Mobile 搭載の Touch Diamond S21HT のようなスマートフォンに WMWifiRouter というソフトを インストールする方法です。これで、スマートフォンが無線 LAN – 携帯ネットワークルータとして機能します。

無線 LAN 内蔵 PC — Windows Mobile + WMWifiRouter — イーモバイル網 —- インターネット

ところが、あるバージョンまでの WMWifiRouter ではアドホックモードにしか対応していないため、PC は接続できてもニンテンドー DS や PSP を接続することができませんでした。

一般に、無線 LAN の動作モードにはアドホックモードインフラストラクチャモードがあります。

  • インフラストラクチャモード …  1:n の通信用。無線 LAN のアクセスポイントはこちらのモードで動作し、複数の端末からの無線 LAN 通信を同時に処理することができる。
  • アドホックモード … 基本的には 1:1 の通信用で、PSP 同士で接続して通信対戦するなどに使う。でも WMWifiRouter では、アドホックなのに 1:n の通信ができている模様。

WMWifiRouter 0.96 FINAL あたりのバージョンからは、Force ad hoc only というオプションが増え、これを使えばインフラストラクチャモードでも通信可能のようですが、動作実績が少ない気がします。

バッテリー内蔵で外でも使える無線ルータ PHS300

WMWifiRouter は、本来、単体で電話や Web ブラウズをするスマートフォンに「ついで」にルータ機能をさせるものでしたが、ルータ専用機も出てきました。

コミューチュアの「PHS300」は、10月23日に販売を開始した製品です。モバイル機器側からは PHS300 はIEEE 802.11b/g の無線 LAN アクセスポイントとしてアクセスできます。PHS300 の WAN 側にイーモバイルの D02HWH11T を USB ケーブルで接続しておけば、ルーティングしてくれて、めでたくネットにアクセスできると。

無線 LAN 内蔵 PC — PHS300 + イーモバイル端末 USB タイプ — イーモバイル網 — インターネット

暗号化方式は WEP/WPA が使えます。公式サイトには WPA2 が明記されていませんが、BB Watch によると WPA2 もサポートしているようです。

バッテリー内蔵で、持ち運び可能です。Cradlepoint 社のページによると約 2時間持つことになっていますが、当然 D02HW のような単体でバッテリーを持たないタイプを接続すると、PHS300 が電源を供給することになり、時間は短くなります。

122 mm x 73 mm x 18.5 mm というサイズでしょう。重量は 104g と結構軽いのですが、ニンテンドー DS Lite に迫る大きさのハコを持ち歩くのは邪魔な気がしますが、カバンのこやしとして突っ込んでおき、バッテリーが切れたら PHS300 を経由せず USB 直結に変更、というような使い方になるでしょうね。

PHS300 というハード自体は Cradlepoint 社という米国アイダホ州の会社が作っていて、以前から個人輸入するなどで購入していたユーザーもかなりいるようですが、日本でコミューチュアが正規販売代理店になったことで国内での販売とサポートができるようになったようです。

Cradlepoint 社の Web サイトではUS$179.99, ですが、それがコミューチュアの日本公式販売サイトで 19,800円で買えるようになったようです。今日現在 1ドル 97円だから…2,340円の差。以前は他の店舗から購入して 22,000円程度していたので、それに比べるとまあまあ妥当な価格で買えるようになった気はします。

問題は持続時間の短さと、充電のわずらわしさ

用途が、みんなで屋外で PSP やるため、などゲーム機用途であれば、PHS300 のメリットは大きいでしょう。PC では、単体でも USB 接続でイーモバイルできてしまうために、説得力がやや落ちます。

手持ちのミニノートPC (Eee PC 901-X) を使うときに、USB で毎回接続する煩わしさから解放され、カバンの中に入れた PHS300 + USB タイプのイーモバイル通信端末とワイヤレス – ワイヤレスでネットにつながる利便性は、確かに魅力的です。

しかし、D02HW / D11LC / D12LC のような USB スティックタイプはバッテリーを内蔵していないため、帰宅したときに AC アダプタで充電する必要はありません。Eee PC 901-X は公称 8.3時間と異様に長いバッテリー持続時間を誇るので、このような USB タイプを接続しても数時間使える安心感があります。ところが、PHS-300 は D02HW 接続時で 1-1.5時間しか持たないという報告もあり、バッテリー持続時間のボトルネックをわざわざ作ってしまう結果になります。

またモバイル機器が 1つ増えれば、毎日 AC アダプタで充電する “装備” の数も増えるわけで、買いすぎると面倒で使わなくなるパターンに陥りそうです。

  • DS Lite に迫るサイズの箱で、無線 LAN ルータとしての機能だけしか持たない 19,800円で、実質 2年縛りの呪縛がない PHS-300 か。
  • Windows Mobile で、それ単体で電話や Web / メール可能だが、38,500円 ((Touch Diamond の端末代金を、イーモバイルのアシスト 1600 に加入し 2年間加入しつづけた場合。1600 x 24 + 100 だが、月々 315円の EMNet 入るのが前提)) の Touch Diamond S21HT か。

なにより、手持ちの D11LC では動作確認されていないので、人柱になるかどうか悩み中です。 🙂