デジタルビデオカメラでは、やはり AVCHD 規格のフルハイビジョンカメラに絞られつつありますが、「静止画と動画をこれ 1台で」ということで、逆のアプローチで物欲を刺激されるものもあります。それは動画撮れるデジイチ (デジタル一眼レフカメラ) です。

液晶プレビューと動画機能で大騒ぎになるデジタル一眼レフの「なぜ」

以前書いたように、コンパクトデジカメの世界では、静止画だけでなく動画もオマケとして撮れるのが一般的です。ところが、ワンランク上の一眼レフの世界では、「液晶プレビューができる」「動画機能がついた」だけで大ニュースになっていたりします。

比較的構造の単純なコンパクトデジタルカメラと違って、光学ファインダーで見た光を、シャッターを切った瞬間だけミラーの角度を切り替えてイメージセンサに投影するのが、従来のデジタル一眼レフカメラでした。ずっとイメージセンサに光が通っているわけではないため、まずコンパクトデジカメのように、常に液晶画面をファインダーがわりにすることができませんでした。

これを、ライブビュー用のイメージセンサを追加し構造的に解決したのがライブビューと呼ばれる機能で、搭載された当初はやはり話題になりましたが、今では多くの機種に搭載されています。ただ、どれでも性能は同じというわけではなく、機種によって、光学ファインダーに比べて反応が非常に遅いものもあります。

さらに、ミラーも開きっぱなし、シャッターも開きっぱなしにすることで、イメージセンサに常時光が当たるようにしたものが動画撮影機能です。

スペックで表現できない存在感を動画に収められるニコン D90

ニコンの D90 というカメラは、ボディ価格平均 100,000円程度、という一眼レフとしては中くらいの価格帯で、動画機能を搭載したことで話題になりました。

最高で 1280x720x24fps と、フルHD 画質には届きませんが 720p で、1900×1200 あるいは 1440×1080 のディスプレイに表示しても遜色ないサイズです。

まずはサンプルを見てみましょう。

ピクセル数を落とした Youtube 画像でさえ、その場の空気感を再現していて、デジタルビデオの動画とは、全く別次元であることが分かります。

また公式サイトを見ると、デジタル一眼レフならではの魅力で、レンズを交換していろいろなシチュエーションを楽しめたり、暗い場所でもイメージセンサのサイズやレンズの性能のため明るく撮れたりといった特長があることが分かります。

AF が効かない D90 を生かせるか、振り回されるか

D90 の動画機能、欠点としては AF (オートフォーカス) が効かないことです。

eyeVio のサイトに薄暗い場所に集まるネコのサンプルもあります。被写体がネコなのでとりあえず OK 🙂 なのですが、被写体がうろうろ動くため、ピント合わせに苦労しています。

先ほどの公式サイトのサンプルの中にスケートボードの動画があります。これを見ると、動きの激しいエクストリームスポーツも大丈夫! という印象を受けますが、これもよく見ると、左から右へ一直線にグラインド1 をしているだけなので、ピントをあまりいじらなくても良さそうです。

次は一番 D90 らしいと思った例。MF (マニュアルフォーカス) をフルに生かして、意図的にピントを変えて映画的な演出に成功しています。

5分「以下」しか撮れない D90

D90 のもう一つの弱点は、撮影時間が短いことです。仕様上は 1280×720 のとき約 5分間となっています。

ところが、カメラ内部の温度が上昇すると、パーツ保護のため 5分よりも短い時間で動画撮影を終了してしまう、という報告があります。

映像作品の素材撮影用と割り切って使うべきか

ということで、D90 の動画クオリティは、コンパクトデジカメと一線を画すのと、内部構造のウンチクが物欲をそそる :mrgreen: のは間違いありません。被写体があまり動かないおとなしいコンサートや、風景を動画に撮るような、ピント固定でボケ味を生かした方が味が出るようなものには、10万円程度のデジタルビデオカメラが追随できない、古い日本映画的なワビサビを表現できそうです。

ピントが手動であることについては、マニュアルフォーカスの方が、作り手の意図しているものにフォーカスが合わせられるため AF よりもむしろ良い、とする意見もあるようです。しかしそれはたぶん、先ほどの座頭市の例のように、あらかじめ撮影したい被写体の動きを絵コンテ的に決めておいて、計画通りに映像作品の素材撮りを進める場合に限って言えることだと思います。運動会の徒競走で、被写体への距離がどんどん近づいてくるような動画や、動物のように動きが予想できないものにははっきり言って向かないと思います。動画撮影中のライブビューでのピント合わせは、それほどやりやすくはないようです。

ということで、ちょっと手軽に持ち出して記録撮影用に使うには厳しいようです。


  1. 縁石などの滑りやすい角にスケートボードの金属部分を引っかけて滑るトリック []