前回の EOS Kiss X3 と SH-01A のボケ味比較に続いて、今回は公園の噴水をテーマに、風景モードと全自動モードで色味の違いを撮り比べたり、シャッター速度を変えてみて、水しぶきの表現の違いを比較してみました。けっこう風景モードは厄介かもしれません。

EOS Kiss X3 の全自動モード、風景モード、Tv モード

デジタルカメラには一般に、初心者と上級者のニーズに応えるため、複数の撮影モードがあります。EOS Kiss X3 の場合は、このようなダイヤルでモード選択するようになっています。

かんたん撮影ゾーン 応用撮影ゾーン
全自動モード 風景モード Tv モード
EOS Kiss X3: 全自動モード EOS Kiss X3: 風景モード EOS Kiss X3: Tv (シャッター速度優先AE) モード
ISO 感度、絞り数値、シャッター速度すべて自動。ストロボ自動発光。オートホワイトバランス。ピクチャースタイル: スタンダード ISO 感度、絞り数値、シャッター速度すべて自動。ストロボ発光禁止。オートホワイトバランス。ピクチャースタイル: 風景 (青や緑強調) ISO 感度、絞り数値自動。シャッター速度可変。ストロボ設定可変。ホワイトバランス可変。ピクチャースタイル可変。

EOS Kiss X3 に限った話ではありませんが、「全自動モード」だとラクですが、ちょっとくらいと何でもフラッシュをたこうとしたり、表現の幅が広がりません。風景なら「風景モード」にすればよいのかというと、青や緑が強調されてキレイですが、噴水のような「景色」なんだけど部分的に動きのあるような被写体が、いつも画一的な絵になってしまいます。

というわけで、Tv モード (シャッター速度可変 AE) モードにして、シャッター速度を色々変えて噴水を撮ってみました。

神代植物公園の噴水

神代植物公園のバラ園中央にある噴水です。

神代植物公園 噴水: EOS Kiss X3: シャッター速度優先AE 1/13sec F32.0 ISO100 55mm EF-S18-55mm Tv (シャッター速度優先AE) 1/13秒 F32.0

水のスムーズに流れる感じが表現できて良さそうです。手ぶれの危険はアップします。消防車の放水に近いテイストのものになりました。

神代植物公園 噴水: EOS Kiss X3: 1/100sec F7.1 ISO100 55mm EF-S18-55mm 風景モード 1/100秒 F7.1

かんたん撮影ゾーンで自動だと、シャッター速度は 1/100秒でした。上下の例の中間というか、水滴が流れ過ぎもせず、止まり過ぎもせずといったところです。

風景モードのため、緑色が強調されていて、不自然に思えなくもありませんが、ぱっと見には明るくて美しいですね。

神代植物公園 噴水: EOS Kiss X3: シャッター速度優先AE 1/200sec F11.0 ISO400 55mm EF-S18-55mm Tv (シャッター速度優先AE) 1/200秒 F11.0

シャッター開放時間を標準の半分にしてみました。拡大しないと分かりにくいですが、水滴がぴたっと静止して見え、ほとばしるコクと旨さ! という感じですね。 🙂

背後で 6本ほど低い軌道の噴水が弓なりに飛んでいますが、すべて水滴が点線になっています。ここはちょっと噴水っぽくなくて微妙かもしれません。

東京ディズニーシーの地球儀

東京ディズニーシーの出口そばにある地球儀と噴水です。

東京ディズニーシー 地球儀: EOS Kiss X3: 風景 1/30sec F5.6 ISO640 28mm EF-S18-55mm 風景モード 1/30秒 F5.6 ISO640

かんたん撮影ゾーンなのでシャッター速度はおまかせですが、1/30秒と遅めになりました。確かに水しぶきの表現としてはこれぐらいが妥当かもしれません。

問題は地球儀の色。この写真単品で見せられると、こういう色の地球儀なのかと思ってしまいそうですが、風景モードなので、青が強調されています。

東京ディズニーシー 地球儀: EOS Kiss X3: オート 1/30sec F4.0 ISO320 28mm EF-S18-55mm 全自動モード 1/30秒 F4.0 ISO320

肉眼で見た地球儀は、実は緑がかっていて、こちらの画像の方が現実に近かったりします。

シャッター速度は変わらず。

東京ディズニーシー 地球儀: EOS Kiss X3: シャッター速度優先AE 1/80sec F4.5 ISO400 29mm EF-S18-55mm Tv (シャッター速度優先AE) 1/80秒 F4.5 ISO400

シャッター速度を少し上げてみました。荒々しい大自然、ここは玄界灘! という感じで、あまり東京ディズニーシーの大人だけどメルヘンな世界を描写という感じではないかもしれません。

風景モードは使いどころを間違えると合成着色料

シャッター速度の違いはこれからいろいろ試行錯誤してみるとして、難しさを感じたのはむしろ、風景モードの扱いだったりします。

かんたん撮影ゾーンではストロボ発光が制御できないこともあって、風景ならとりあえず発光禁止になる風景モードにしておけばいいだろ、と気軽に設定してしまいそうですが、上記の例のように、かなり作為的に青と緑が強調されます。ぱっと見、鮮やか! で目を引くのは間違いないのですが、被写体の色味からかなり離れてしまうので、幻想的な風景、ピーカンの青空、地中海的な雰囲気、草原を大々的に強調したいときはともかく、曇天で夕方撮影している地球儀が、風景モードでムダに青々しくなってしまったりして、使うのにためらいを覚えますね。