SCYTHE (株式会社サイズ) の XClio 6020 という 25cm ファンがウリのケースを使っていましたが、これまでに 2台故障してしまいました。冷却性能は高いが、肝心のケースファンが、世間一般の PC 冷却ファンに比べて壊れやすいのが問題。小手先テクで寿命を延ばそうとしてみますが…。

1993年からの Nire.com 自宅サーバ史でも 5本の指に数えられる、とんでもないエンドレスメンテ地獄のはじまりはじまり。 :mrgreen:

巨大 25cm ファンを搭載した PC ケース XClio 6020

これが問題の PC ケース、SCYTHE の XClio 6020 です。

XCLIO6020-BK

XClio 6020 の特長は、なんといっても左側面のケースファンが 25cm と巨大なこと。

ファンの回転数は 500~800rpm ((rpm: Rotate Per Minute. 1分間の回転数)) と、よくある 12cm ファンが最低でも 1100rpm 以上なのに比べるとずいぶん低速に思えますが、ファンの命は風量です。90~152 CFM ((CFM: Cubic Feet per Minute. この場合 1分間に送られる空気の体積、つまり風量)) と、8cm / 12cm ファンとは一線を画した性能です。

今回のチリチリ…は、お掃除どきサインでは無かった

Nire の自宅サーバでこのケースを使用していたのですが、ある日の朝チリチリ…という音が。CPU が高温になりすぎた時に発生する音ですが、つい先日この PC は CPU ファンやヒートシンクを含めて、念入りに掃除したところです。

自宅のサーバルームは、人間様がいなくても、普段より高めながらエアコンが稼働しています。室温的には問題ないはずです。さては CPU ファンにホコリでも絡まったのか…? とケースを確認したところ、もっと分かりやすいところに原因が。

「ケースファンが止まっている!!」

XCLIO6020-BK 25cm ケースファン

なにせ高熱を発する Northwood 対策に、わざわざファンのデカいタイプを買ったようなもの。確かにこのケースに交換してから、温度的には非常に安定していて、今まで見た空冷ケースの中ではもっとも「よく冷える」ケースには違いありませんでしたが、不用意にファンが止まるのはサーバ PC として致命的です。

回転軸が重くなっているので対策

手で回してきっかけを作ってやると、エンジンスタートしたセスナのプロペラみたいにゆるゆると動き始めるので、滑りが悪くなったか…ということで、有効か分かりませんが軸をグリスアップしてみます。

ケースを開けてファンを裏返すと、中央に巨大な黒いシールが貼ってあります。

XCLIO6020-BK: モーター部と軸受けのシール

これを剥がすと、ゴムブッシュのような軸受けのフタがあり、それを取り去ったところに軸受けとおぼしき空洞があります。

グリスアップするとまた回り始めました。快調快調。ちょうどこのとき、仕事もまた最高潮でしたので、とりあえずこれで様子を見てみることにしました。

そして 2週間後。ケースファンが再び静音止まってしまいました。

連続稼働時間 8700~18720時間は短すぎる

現在までに自宅サーバ用 24時間稼働のために XClio 6020 を 4台買ったことがありますが、今までの成績はというと、

  • 1台目 … 1年間 (8760時間) 使用後、軸以外の問題でファン回転せず
  • 2台目 … 2年 2ヶ月 (18720時間) 使用後、回転軸が重くなりファン回転せず
  • 3台目、4台目 … 2年以上、安定して稼働中

稼働部品が壊れるのは世の常とはいえ、カタログスペックに記載されている MTTF ((MTTF: mean time to failure. 平均故障寿命)) 3万時間ぐらいの新品ファンで 3.42年。最低 3年は安定稼働してもらいたいところです。

仕方がないので最寄りの PC ショップへ行き、同型機を探しますが、販売終了モデルですので展示されていません。そもそも、25cm ファン搭載ケース自体が、一部のハイエンドパーツをより冷却したいマニアが買うもの相場が決まっているのか、展示すらされていません。

ファンだけ交換することも考えましたが、25cm ファンというのは手に入りにくいようです。先日購入した TWOTOP BTO の Core i7 マシンで、サイドについているのが 12cm ファンでしたが、だいたい 12cm というのが市販で普通に出回っている上限サイズでしょう。

問題の PC がホストしていたサーバはすべて仮想化しているので、予備マシンにさっさと一時避難して何事もなく稼働再開。とはいえ、何日も 25cm ファンを捜し求めて nire.com の総マシンパワーを下げっぱなしというわけにもいかないので、取り急ぎその場にあるケースを買って換装することにしました。

つづく。