エレキット「うそ発見器」AW-851 を自作してみました。ハンダづけ編です。

数秒以内に勝負が決まるハンダづけ

ガンプラとの最大の違いは、ハンダづけが厄介な点です。もともと熱に弱い電子部品に、300度以上の熱を加えてハンダを溶かし、基盤と電気的に離れないようにくっつける必要があります。

足と基盤にコテを当てて加熱 – 半田を溶かす – 溶けて回り込む (ジューッ) – 固まるまで待つ

長くても 5秒以内に足 1本の半田づけを完了するのが基本です。慣れてくると 2-3秒で完了できるようになります。

気合いのハンダづけ。作業中の図。天ぷらハンダ、いもハンダにはなっていないと思いますが、どんなもんでしょう。

抵抗は極性がなく、向きは関係ありませんが、何となく美観の問題ですべて同じ向きにしてみました。茶黒橙金、橙黒黄金…と 4本のカラーコードに間違いがないか慎重に確認しながら取りつけていきます。どこの製品か知りませんが、「橙」「赤」の区別がちょっとつきにくいです。

LED も向きが不揃いだと見た目がアレなので、奥まで端子を刺して、LED の頭が水平になるようにハンダづけします。

最難関は、間隔の狭い IC の足14 x 2 = 28本です。一応コテ先を細いものに交換します。しかし細くなると、コンマ数秒分、ハンダが溶けるのが遅くなり、リズムが狂います。

IC が終わったらさっさとデフォルトのコテ先に戻しました。

ハンダづけを失敗したときのためにハンダ除去器も買っておきましたが、結局、コードを通す向きを気分的に変えるために 1回使っただけで、致命的な半導体部品の取り付けミスもなし。IC の向きを間違えて阿鼻叫喚になったり、そんなことはいたしません。

全てのパーツを取りつけ完了し、できあがり状態。

緊張の火入れ式

基盤にあるセンサーに両手で触り、LED の点灯を確認します。

半固定抵抗を調節すると緑から赤に LED が点灯していき、一発動作

仕様的に自動キャリブレーションは行われないので、人によって半固定抵抗を毎回調節する必要があるのが面倒。まぁ抵抗値によるうそ発見器って、正確さはお察しくださいレベルなので、遊べればいいやぐらいなもんです。

ということで、さして大きなトラブルもなく、やっぱり子供の時より作業にガサツさが無くなったかなぁと。部品と取付位置のチェックを行いながら慎重にハンダづけする分には、何の問題もなく完成してしまう感じでした。

ケースに入った完成品を買う時代に、わざわざ電子工作キットを作る意味

かつてワンボードマイコンなど、バラの組み立てキットで作った方が完成品より安価な場合もあり、文字通り自作派だった人もいました。また完成品のキット基板を使うのはすでに軟弱で、銅板に油性マジックで回路を手書き、塩化第二鉄水溶液に浸けて基板を自作していました。(そこまではついにできませんでしたが…)

現在では、スケールメリットや組み立ての機械化により、完成品を買った方がはるかに確実でコンパクトです。仰々しく学研「ムー」の表紙みたいな形状していませんし 🙂

失われたメシアの神殿「ピラミッド」の謎 (ムー・スーパーミステリー・ブックス)

せいぜいマザーボードにメモリ差してデスクトップ PC を組み立てるのが「自作派」で、ノート PC やモバイル端末の成熟により、その機会も失われつつあります。

今さら電子工作キットを作るのは実用性やコストうんぬんではないと思います。ハード製作の原点にかえり、ハンダづけのかほりに酔いながら、「いつも使っているあの電子グッズはどんな回路なんだっけ」を改めて思い返すための手段と考えるのが正しいでしょう。

とか偉そうに書いていると、シャープの「匠」社員は、なんと 1カ所1秒強でハンダづけをこなす、という記事を発見。

えええ、修行が足りねえ。