CEATEC 2008 で 10月1日に行われた、NTTドコモ 代表取締役 辻村清行氏によるセッションです。(公式サイト)

携帯電話ネットワークの回線速度の変化、光ファイバなどによる固定通信との比較、それによって起こるブロードバンドコンテンツの変化。端末プラットフォーム共通化への取り組みといった内容についてでした。

統計データ

2007年12月 世界で携帯 33億契約 (3,292百万)
日本で 83% が 3G に移行している

日本の市場は成熟期を迎えているが、質的にはまだまだこれから
リアルとサイバーの融合、ブロードバンド化、グローバル化

進化のトレンド

  • 固定通信と携帯通信の通信速度は 5年ぐらいの開きがある
  • 5年遅れで LTE が入ってくる


NTT ドコモのロードマップ

  • 2009年 HSUPA 5.7M
  • 2010年 Super 3G (LTE, 3.9G) 導入
  • 2015年度以降 IMT-Advanced (4G)

LTE はドコモが 2008年 3月に下り 250Mbps、上り 50Mbps の伝送に成功。体感 10Mbps ぐらい。

ブロードバンドコンテンツの変化

  • ダウンリンクだけでなくアップリンクも速くなるため、携帯により投稿される動画の CGM (Customer Generated Media) が増える。
  • Super 3G (LTE) による高速、低遅延、大容量のネットワークにより、サーバで端末の能力を補完し、携帯のシンクライアント化が進む

おサイフケータイ利用シーン

交通機関の発券業務のハンドリングをおサイフケータイや携帯端末でワイヤレス通信化することにより、発券の省力化が可能になり、ユーザーもアクシデント発生時のリルートが容易になる。 NFC … Near Field Communication.

マクドナルド x DoCoMo

マクドナルドとのジョイントベンチャー。

かざすクーポン。携帯に割引クーポンをダウンロードし、電子マネー ID で支払うことにより、客は割引価格で購入でき、店は会員番号つきの購買履歴を入手でき、購買行動が分かる。クーポン発行が紙の 1ヶ月に比べて、かざすクーポンでは 1週間に短縮できる。CRM. 土日の売れ行きをみて、クーポンの発行内容をアレンジできる。

一部の個人情報 (性別など) を利用するため客からのパーミッションが必要。

現在考えていること … オーダー自身を携帯でできないか。ドライブスルーに行く前に注文。家族が店頭で注文時に悩む時間がお互いに節約できる。

サービスの進化

エージェントによる行動支援。携帯、PC、TV の画面をいかにシームレスにするか。固定通信が Web 2.0、モバイルは Web 3.0.

端末プラットフォーム

ソフトウェア開発費用の高騰への対策。

  • Symbian, Linux, Android, Windows Mobile のすべてに中立の立場として参加する。Symbian Foundation, Limo Foundation, Open Handset Alliance (Android)
  • ドコモ向けのソフトウェアをパッケージ化してメーカーに提供。2009年後半より順次。


所感: JV とプラットフォーム共通化は今更な話だったが、LTE と 4G にはある程度期待できる

現在サービスされている HSDPA 3.6Mbps / 7Mbps の通信は、体感的に一昔前の ADSL 程度で、体感では「遅いとは言わないけど、大量に Web ブラウズしているとややストレスを感じる」ぐらいです。

ドコモは、WiMAX 事業への参入を目指してアッカ・ワイヤレスと共同出資した会社を作っていましたが、2.5GHz 帯の各通信事業者の争奪戦に負けたため、HSPA (HSDPA, HSUPA) の次にデータ通信が高速化されるのは、講演に出てきた 2010年の Super 3G (LTE1 ) ということになります。

下り 100Mbps – 250Mbps の通信ができるということで登場が待たれますが、とりあえずその前に 2009年に登場すると言われている KDDI 陣営の WiMAX の実質的なパフォーマンス次第で、データ通信市場の勢力バランスが変わってくるでしょうね。

マクドナルドの「かざすクーポン」は、実際には The JV という日本マクドナルドホールディング株式会社 70%、NTT ドコモ出資 30% の会社が提供していますが、だからといって NTT ドコモ専用サービスというわけではなく、au、ソフトバンクモバイル端末にも対応しています。マクドナルドの方が出資比率が高いのがミソでしょう 🙂

端末プラットフォームの統一は、プラットフォームとして何を使うかはともかく、au の KCP+ と目指すところは同じですね。Symbian, Linux, Android, Windows Mobile と等距離外交も良いけれど、すべてをトラックしていくとリソース足りなくなりますよ。割り切ってどれかにつく思い切りの良さが必要…と言いたいですが、今の NTT ドコモにそれができるのでしょうか。

オペレーターパックは以前、基本設計の抜本的な変更として読売新聞に報道されたものですね。1年前倒しになって 2009年後半になったということは、それだけ国内市場の飽和に対する危機感が高まってきているのでしょうかね。

この日、他のセッションも聴講したのですが、他社の力を借りたプラットフォームビジネスの紹介ばかりで、自社としてのビジョンが見えないセッションもあるなかでは、前半、ロードマップを提示している分、まだ具体性のある話だったとも思います。


  1. Long Term Evolution []