今回は IC CARD WORLD に続いて SECURITY SHOW についてです。日立の監視カメラシステムのステージデモが目立っていました。

SECURITY SHOW 2009: 入口

IC CARD WORLD より盛り上がっていた SECURITY SHOW

総合展示会「街づくり・流通ルネサンス」の大半が東京ビッグサイトの東館で開催される中で、SECURITY SHOW だけ西館となっています。

来館する方としては通うのが遠いのですが、実は SECURITY SHOW だけ開催スペースが段違いに広く、「コ」の字型の西館 2F、さらに西館中央のイベントスペースまで使い切って行われています。

ざっと見ただけですが、面積の広さだけでなく、IC CARD WORLD に比べると、まだ普通に盛り上がっている印象は受けました。

日立ブースは顔認識技術をウリにした監視カメラシステムがスゴい

中でも、一段と気を吐いていたのが日立ブースで、監視カメラなどによるセキュリティシステムでした。コメディアンを呼んできてステージデモを行っていて、華もあったし人が実際大勢立ち止まっていました。

工場のように人が多く立ち入る場所や全国に展開しているコンビニエンスストアなど、色々な理由で警備員の肉眼によるチェックだけではカバーしきれないセキュリティチェックを、カメラの目と顔認識技術によるデータ分析で精度を上げ、コストを下げようというもの。

つい最近、こういった業務用監視カメラを更改するにはいくらかかるのか、といった話があったばかりなので、実用的にも技術的にも興味あります。

ステージデモで面白かったのが、見本になる顔写真を提示すると、日立ブースの各所に設けられた監視カメラの延べ 10,000 時間にわたる膨大な動画データから、わずか 0.3 秒間で該当する顔と場所を探し出す、というもの。

真面目に見ていませんでしたが、この機種だと思います。

日立製作所 デジタルデコーダー(16入力用、1TB、顔検知機能付き) DS-G360

顔認識技術は進歩していて、最大 15人まで認識できる Panasonic LUMIX DMC-L1 というデジタル一眼レフもあれば、横顔や傾いた顔でも認識できる FUJIFILM FinePix F100fd というコンパクトデジカメもあります。コンシューマー向け商品でこれだけできるなら、業務用ではもっと機能が高いだろう、というのは想像に難くありません。それにしても 0.3 秒とは…。

もっとも、コメディアンが例題として出てきて見せていたデモでは、顔がだいたい正面を向いていたので、聞き忘れましたが、横顔は見落とすなど精度が落ちるのかもしれませんね。

凄いのは、コンシューマー向けの顔認識技術は、だいたい目、鼻、口といった特徴点を見ているのに対して、コンビニ店内の POP がきちんと本部の指定通りに吊られているか、といった顔以外の認識も可能だという点です。

16台監視で 300万程度のシステムは高いか安いか

応用技術で、工場のゲートを出入りする車のナンバープレートを文字認識して、自動的に通過時間とナンバーを記録し検索可能にする、といったデモも見せてくれました。

高速道路では同様の Nシステム (自動車ナンバー自動読取装置) が設置されていますが、初期の頃は 1カ所 1億円とも言われましたが、平成 20年度でも新規増設に推定 3170~4000万円と、非常に高価なもののようです。

DS-G360 + カメラ VK-C756 x 1台で 152万円、実際には 60% ぐらいで売られているようなので、91万円。N システムが高速道路を走る車でも撮影できるのに対して、こちらは被写体が歩行する人や、徐行する車だとしても、3-4% 程度の価格で買えてしまうわけですね。

実際にはカメラを同時に最大 16台まで監視できるので、以下のような価格になります。実際にはカメラ駆動ユニット VK-AC960 やら取付金具 WH-31L やら必要だそうなので、それらを加味した価格です。据付工事費やモニターの価格は別。

構成 希望小売価格 実売 (予想) 価格
監視用デジタルレコーダー DS-G360 + カメラ VK-C756 x 1台 152万円 91万円
監視用デジタルレコーダー DS-G360 + カメラ VK-C756 x 16台 431万円 258万円

普通の監視カメラシステムと比べてずいぶん高いな 🙂

この顔認識技術のポイントは、N システムと同じで、事故が起きたに真に役立つものであって、犯罪予防のためのものではない、という点です。記録効率や事後の検索効率は挙がると思いますが、結局は今リアルタイムで監視し対応する人の省力化や、ひいては人件費の削減につながらない気がしますね。