昨年7月からやっていたソーシャルゲーム Overhit を引退したので、ゲームの概要からプレイヤー離れの流れまで書いておこうと思います。

シネマティックスキルと戦略性が売りのソシャゲー

韓国 Nexon が出しているゲームで、3D シネマティックムービーによるスキル (必殺技) が派手な点が売りです。

Overhit: 闘技場 PvP

「英雄」と呼ばれるゲーム内キャラのカードを5人分集めてデッキを作って戦うゲームですね。

PvE 的な戦闘をしながら英雄同士のストーリーが展開しつつ、PvP がしたい人には闘技場という専用エリアがあって、他のプレイヤーが作った 5人のデッキと戦うこともできると。

そこそこ先行廃人でした

プロフィール画面。

Overhit: 冒険点数

走行距離にあたる冒険点数は 20万点で、ゲーム開始からちょっと遅れの 6月から始めたにしては、そこそこ廃なグループに属するのではないかと。延々 9ヶ月やっていましたね。

Overhit: プロフィール: パーティ構成

毎週 / 毎月争われる闘技場の順位はチャレンジャーIII ぐらいで、全国 500位以内、100位にはなかなか入れないぐらいです。

Overhit: チャレンジャーIII

30対30人の詰将棋的 GvG バトル

栄光の戦域という名前の GvG 要素もあります。

Overhit: 栄光の戦域

最大 30人のゲーム内ギルドどうしで行われるトーナメント制のギルドバトルですね。ギルドマスターが指定した順番に、30人 = 30デッキがゴールド / シルバー / といった格付けがされています。

金やら銀のポイントを表す 4つの玉が出ていると思いますが、これを相手のギルドと PvP を繰り返して奪い合うわけですね。

どこのギルドにいたのかって?

Overhit: いろはす

「いろはす」というプラチナリーグのギルドにいました。
全体でのギルド順位は 10位以内。

Overhit: GvG ランキング: いろはす

メンバーの入れ替わりは頻繁にあるのですが、コアメンバーはあまり変わらず、8ヶ月は一緒に戦っていましたね。

昔は PC ベースの MMORPG にハマっていたクチで、Final Fantasy XI (FF11), リネージュII, FF14 といった感じで、それぞれ先行廃人グループにいました。なのでギルドバトルや、それにまつわる集団どうしのギスギスした雰囲気は慣れているし、ゲームの中と割り切って争いあうのは嫌いじゃない 🙂 です。

なので Overhit の GvG もさぞ殺伐…と思っていましたが、実に大人のギルドだったし、周りのギルドも大人の対応でしたね。

Final Fantasy シリーズでいうアクティブタイムバトルみたいなもので、そこまで超反応が求められず、どちらかというとカードデッキを組み合わせて詰将棋のようにパターンで相手に勝つ側面があるため、平均年齢層は若干高めだったと思います。

ギルド内では 20代後半のアラサー、30代が中心で、40代は 30人の中に数人隠れている、という感じですね。

栄光の戦域の相手ギルドは、同一リーグ、同じランキング範囲にいるギルド同士でランダムに決定されて、毎日 11:00 から 23:00 までの間開催されます。

負けなしだったころのいろはす。

Overhit: いろはす

栄光の戦域では、ギルド内の各プレイヤーが 1日2回まで、誰と対戦しても良く、勝利ポイントの合計を相手のギルドと争います。

相手のゴールド~ウッドのランクに合わせて、勝利ポイントに差があって、当然ポイントの高いゴールドには、相手ギルドも強いデッキを持つプレイヤーを配置していると。

ギルドメンバーがバラバラに好きな相手と戦っていると、自分のデッキでは勝てない相手に挑んでポイントが得られないため、30人という結構な人数で統率をとって、役割を分担し、相手の出方を見ながら対戦相手を変えていく戦略性が求められます。

少ない新規要素とアプリの品質低下

30人詰将棋としては結構面白かったのですが、結局はガチャにより低確率でしか得られない新しいキャラ (例えばノルンだとか、ルシファー、ダルタニャン) の導入により、そのゲームバランスを開発メーカー自ら崩してしまい、ユーザー離れを招きました。

その割にはエンドコンテンツがこの GvG とボスバトル (震天の神域) しかない、課金要素以外にまったく開発リソースが割かれていないのですよね。結局、対戦シーンの描画のようなこのゲームのコア部分はアップデートされず、表面的なアップデート

極めつけとして、2月付近のアップデートから急にスマホアプリの異常終了が目立つようになりました。ガチャを引いた瞬間に落ちるという、非常にモチベーションを下げるバグです。

さらに、エンドコンテンツで致命的なバグが見つかりました。

Overhit: トーナメントグループ3

栄光の戦域は、プラチナリーグ終了時まで、足かけ数ヶ月のシリーズを延々と戦って、Overhit 全体での No.1 ギルドを決める戦いなのですが、その最後のプラチナリーグ開始時に、対戦カードのグループ分けが間違っていて、想定しないギルドと対戦させられる事態に。

Overhit: GvG バグのメンテナンス

これにより、トーナメント開始するはずの 11時から時間未定のメンテナンスに突入。

2時間後にいつのまにかメンテが終わったときには、強さの違う競合ギルドの対戦が突然開始されていたため、各ギルドの足並みが崩れ、プレイヤーの不興を買う結果になりました。

ひどい話ですね。

プレイヤーと運営の認識に大きなズレが

上位ギルドほど、Lobi などのゲーム用掲示板やボイスチャット、果ては Google spreadsheet を駆使して対戦表を作ったりして、リアルライフの合間に 11:00~夕方まで時間をかけて、連絡を取り合い、作戦を練るのが普通でした。

ギルドマスターや、リーダーシップを取る指揮官相当のメンバーが、各メンバーのリアル事情にも配慮しながら、戦闘相手や時刻の指示出しをしなくてはならない、非常に負担の大きいコンテンツです。

NCSOFT で企画を担当しているメンバー自身が、このゲームをがっつりプレイしていないためにその認識がなく、表面的には 1日 2回戦うだけで GvG としてはライトコンテンツだと思っていた可能性はありますね。

Overhit: 真・不敗伝説

優先順位の低いタイトル、少ない開発リソース

セルラン分析 game-i サイトによると、Overhit の月間売上は、このプラチナリーグ開催に合わせた、モンスターストライクとのコラボガチャにより 2月 1.44億円に達しています。

そして翌3月にプラチナリーグが終了するにともない、飽きたり嫌気のさした上位プレイヤーが大量に引退し、どのギルドも人集めに苦労しているようです。

NAT Games が開発し Nexon が配信しているこのゲームですが、Nexon 自体は PC / SP 向けに多数のゲームタイトルを運営しており、社内の共有リソースである開発人員を、時期に応じて新規 / 注力タイトルに振り向けていることが想像されます。

2月の月間売上が 120位程度の Overhit にはそこまで割ける人員はないか、初期にゲームコアを作ったメンバーはもう残っていないのだろうと思いますが、

それにしても利益を回収した分は新規要素の開発にあててもいいんじゃないかと思いますね。

日本向けに 2D 絵を描き直したり、日本人好みのストーリーモードなど、単なる韓国版ソーシャルゲームの焼き直しにとどまらない野心的なカルチャライズ自体は高く、暖かく見守ってくれてガチャで投資もしてくれる固定ユーザも多い Overhit ですが、

結局クソゲーだった。と言われない程度には頑張ってほしいものです。

いろはすギルドの皆さんは本当にお疲れさまでした。