去年 10月に CEATEC JAPAN で出展していた UQ コミュニケーションズのモバイル WiMAX サービスが 2月26 日からいよいよ試験サービスを開始します。HSDPA, HSUPA といった現在サービス中のものと、WILLCOM CORE のような次世代 PHS と比較してどうなのでしょうか。

実効速度で HSPA の 5倍の速度が出るモバイル WiMAX

モバイル WiMAX の理論上の下り最大スピードは 40Mbps (37.4Mbps) ですが、実際にはどれくらいのスピードが出るのでしょうか。PC 外付けにデータ通信カードが提供されている 4つのサービス、HSDPA、HSUPA、モバイル WiMAX、WILLCOM CORE で比較してみました。

3G HSDPA 3G HSUPA モバイル WiMAX WILLCOM CORE (XGP)
公称 下り 7.2Mbps 7.2Mbps 40Mbps 20Mbps
公称 上り 384Kbps 1.4Mbps 10Mbps 20Mbps
実効 下り 0.93-1.88Mbps 2.23-3.24Mbps 16.4Mbps17.6Mbps ?
実効 上り 0.22-0.32Mbps 0.95-1.19Mbps 3.9Mbps4.2Mbps ?
計測に使用した機種 D02HW D21HW UD01SS テスト環境
月額料金 1,000円-4,900円 4,480円 4,000円程度
2年縛り あり なし ?

デモンストレーションでは、下り 16.4Mbps、上り 3.9Mbps だったようですが、機種が何だったのかかは不明です。また別の日経 BP の記事では、下り 17.6Mbps、上り 4.2Mbps とだいたい似通った値が出ていて、さらに写真から判断すると、データ通信カードは USB スティックタイプの UD01SS のようです。

HSDPA / HSUPA 対応機種での実測値は、イーモバイルの代表的な機種 D02HW, D21HW で計測した例がありました。

HSUPA の最新機種と比較して、モバイル WiMAX では上り下りともに約 5倍の速度は出るようですね。

2段階 + 2年契約のイーモバイルか、月額固定で 420円安い UQ か

料金面での違いは、イーモバイルの料金体系では、新にねんという 2年間契約前提でスーパーライトデータプランなら月額が 1,000円~4,900円と 2段階料金制で、しかも安いこと。これに対して、UQ のモバイル WiMAX では UQ Flat という料金体系で月額 4,480円固定 (税込)です。

月額コンスタントにデータ通信はこれ一本! で使う気満々であれば WiMAX の方が安いのですが、たいていは携帯電話と 2回線持ちになると予想されるため、今月はケータイの 2段階料金を MAX まで使い倒す代わりに WiMAX は使わない、来月は WiMAX をメインに使い携帯パケット代は最低料金のまま、という使い分けができなくなります。

ただ UQ Flat 以外にも、サービス開始後、様子を見ながら新しい 2段階料金制が投入される余地はあると思います。たとえばソフトバンクが iPhone 3G を投入したときがまさにそのパターンでした。最初、いわゆるパケ代のみに相当する「パケット定額フル」は 5,985円固定でしたが、発売後 1ヶ月も経たないうちに 1,695円~5,985円の 2段階定額制に改定されています。さらに iPhone 3G とは違い、WiMAX という新しい通信インフラを展開するため、基地局設置の重い設備費負担を少しでも回収したいといった思惑は当然あると思います。

タイミング的に待ったなしのウィルコム

ウィルコムが現在準備を進めている次世代 PHS、WILLCOM CORE については、しかし上下ともに最大 20Mbps でサービスを開始することと、実験用基地局 + 端末の環境で最大 18Mbps…とあるものの、他の HSPA, モバイル WiMAX では実機での実測値と比べるのはフェアではないため、”?” としてあります。

公称、最大速度で 2倍程度の違いであれば、体感でそれほど WiMAX と違わないでしょう。次世代通信はもちろん WiMAX や WILLCOM CORE (XGP) の独壇場というわけではなく、つぎに携帯通信事業者が導入を予定している Super 3G = LTE (実測 100M – 250Mbps) に取って代わられることを考えると、やはり早い者勝ちというか、いかに速くサービスを開始して初期投資を回収するかの競争になると思われます。